リオ五輪、本当に価値あるメダルは?
米国のメディアは、それぞれの記者が独断で「お気に入りシーン」などをランキングで発表していて興味深いが、NBCのニック・マッカーディ記者は、「私のお気に入りのベスト16」の1位に難民チームの参加、2位に開会式の聖火の最終ランナーに、アテネ五輪の男子マラソンで乱入者に妨害されて銅メダルになった悲運のバンデルレイ・デ・リマ氏だったことを挙げ、なんと3位に「内村航平が勝ち、彼の母は気絶したこと」ことを取り上げていた。 男子体操の内村航平選手が、個人総合で、最後の鉄棒で逆転して、金メダルを獲得した瞬間、内村の母親の周子さんが立ったまま気を失ったようになったシーンをピックアップしたのだ。 同記者は、「内村航平のことはそれほど見たことがなかったが、彼は才能のある選手で、1972年以来の個人総合での2連覇を狙っていた。この日本の偉大な選手について知るための最高の方法は、応援席に行って、特に彼の母親を見ることだと思った。内村が僅差で勝った時、彼の母親は気を失っていた。そして日本のフォトグラファーが彼女を囲み写真を撮り続けていた。彼女を2時間の競技中見たことは、私にとって目を見張るものだった」と、息子を見つめる母親の姿がいかに印象的だったかを伝えた。 また11位には「ヘレン・マルーリスが吉田沙保里を唖然とさせた」と、五輪初出場のマルーリスが、レスリングの女子53キロ級で大会4連覇を目指す吉田沙保里選手を破って金メダルを獲得したことを挙げ、2000年のシドニー五輪男子レスリングのグレコローマンスタイルで、4連覇を狙うロシアのアレクサンドル・カレリンを初出場だったアメリカのルーロン・ガードナーが破って金メダルを獲得した大番狂わせと「同じように記憶されるべきもの」としていた。それほど“女王”吉田の敗戦は、世界に衝撃を与えたのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社