リオ五輪、本当に価値あるメダルは?
今大会のメダル獲得数は最多だったが、獲得競技でくくると「10」で、ロンドンの「13」から3つ減った。フェンシング、女子バレー、アーチェリーなどが逃したためだが、新たな獲得競技もあって、個人的には、テニスの錦織圭(26、日清)の銅メダル、カヌーの男子スラローム・カヤックシングルで、史上初の銅メダルを獲得した羽根田卓也(29、ミキハウス)、男子卓球の男子シングルの水谷隼(27、ビーコンラボ)の銅メダル、団体銀、男子50キロ競歩で、日本の競歩史上初の銅メダルを失格騒動があったにもかかわらず獲得した荒井広宙(28、自衛隊)、そして女子バドミントンのダブルスの《タカマツペア》の金メダルを価値あるメダルとして挙げたい。 錦織は、特別扱いを好まず選手村で大会を過ごし他競技のアスリートが驚くほどだった。プロとして栄誉と日の丸だけを背負う“純な戦い”に全力を捧げ、ナダルを破った姿にはアスリートの原点を見るような感動があった。羽根田と水谷の共通項は海外を拠点にトレーニングを積んだ点。2人ともにまさに苦節のメダルである。 五輪のカヌースラロームは、人工コースで行われるが、日本にその環境はない。東京五輪では、葛西臨海公園内に会場が作られる予定だったが、自然保護を優先させるため変更になりそうでドタバタしているが、ここが国内初の人工コースの完成となる。もう広く報じされたネタだが、羽根田は高校を卒業すると、環境の整っているスロバキアに留学して、トレーニングをスタートさせた。 水谷は、ロンドン五輪後に勇気を持って不正接着剤の問題を告発した。その後、ロシアのプロリーグに参戦。世界に身を置き、今回の銅メダルにつなげた。準決勝で敗れたが、中国の金メダリストをパニックに陥らせた。水谷の強いメンタルが戦慄させたのだ。荒井も、昨年の世界選手権4位の結果を踏み台にして、フロックでない結果だが、競歩チームが各所属の枠を乗り越えて技術やトレーニング方法を共有して、チーム日本で団結。リオ五輪でも前線基地を用意するなど、JOC、陸連のサポートも背景にあった。 バドミントンの女子ダブルスもアテネ五輪後からスタートしたナショナルチームの強化と、積み重ねた歴史の結実である。北京五輪での、末綱聡子、前田美順、《スエマエペア》の4位入賞から始まり、ロンドン五輪では、藤井瑞希 、垣岩令佳 の《フジカキペア》が銀メダルを獲得。決勝で中国ペアに敗れたが、ロンドンに出場できなかった悔しさと、フジカキペアの無念は、タカマツペアに受け継がれた。その原点にバドミントンをメジャーにしたオグシオペアの財産があることを忘れてはならないだろう。 最後に世界に紹介された日本の名シーンを紹介しておきたい。