あの政治家にも観てほしい? 理想の引き際映画5選!
自分がなにをやってきて、これからなにをやりたいのか、そこが大事! 『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』
毎年、シーズンが終わる頃になると引退表明が出される野球界。今作の主人公、ビリー・チャペル投手も40歳を迎え、選手生命のピンチに立たされている。優勝が決まるゲームでの登板を任されているのだが、その日の朝にオーナーからトレードまたは引退を勧められてしまうビリー。しかも恋人には別れを告げられたばかり。モヤモヤを抱えたまま、彼は一世一代のマウンドに上がることになる。 引き際を考えたとき、人はこれまでの自分の生き様を振り返るもの。今作のビリーも、決戦のマウンドで対戦バッター、さらに痛みを訴える自分の右腕と格闘しながら、これまでの日々に心を巡らせる。そしてタイトルが意味する“野球が好き”という思いがあふれ出すクライマックスへ! ケヴィン・コスナーの“直球”なヒーロー像も清々しく、引き際を描いている作品なのに後味もこのうえなく爽やか。これまで自分がなにをやってきて、そしてこれから本当になにをやりたいのか。そんなメッセージが熱く伝わってくる。
退くけど終わりじゃない! その後の人生を楽しむヒントがここにある! 『アバウト・シュミット』
多くの人にとって“引き際”を感じるのは、定年退職を迎えるときかもしれない。今作の主人公、ウォーレン・シュミットも長年、地道に勤務していた保険会社を66歳で定年退職。しかし、そこから波乱万丈の運命が待っていた。妻が急死して途方に暮れ、娘が連れてきた婚約者も気に入らない。ジャック・ニコルソンの熱演&怪演もあって、第2の人生に振り回される男の哀感に、気づけば感情移入してしまう巧妙な1作だ。 この映画が描くのは“引き際”を経験した後の生き方。人間というものは、それまで生き甲斐だったなにかを失ったとき、ストレスが膨れ上がったり、ガックリ落ちこんだりするもの。今作のシュミットの場合、運命も感情の起伏も劇的なのだが、引き際の後の人生にどう対処するべきか、多くのヒントが隠されていたりする。アレクサンダー・ペイン監督は、黒澤明の名作『生きる』を参考にして脚本を書いたとのこと。笑いと感動のブレンドも絶妙だ。