「飲み込みやすい介護食」とは? 食材・形態から市販の介護食の選び方まで【介護福祉士解説】
介護食に適した食材・味付けの選び方のポイントは? 高齢者が食べにくい食材も解説
編集部: 介護食に適した食材の選び方を教えてください。 青木さん: 介護食に適した食材は、やわらかく・飲み込みやすいものになります。具体的には、脂ののった魚や豆腐、ジャガイモやかぼちゃなどが挙げられます。調理でやわらかくなる食材も介護食に向いています。また、食材自体がトロミの役割をするオクラやなめこ、とろろ昆布なども介護食向きの食材です。 編集部: 反対に介護食に向いていない食材はありますか? 青木さん: 介護食に向いていない食材は、硬くて飲み込みにくい食材、もちのように弾力性がある食材で、誤嚥・窒息のリスクがあるため向いていません。さらに、パサパサとした食材や口のなかでバラバラになる食材や水・お茶などのようにさらっとした水分も誤嚥しやすいので注意が必要です。 編集部: 介護食を作る際の味付けのポイントを教えてください。 青木さん: 介護食を作る際は、食べる方の好みに合わせて味付けをするのがポイントです。「おいしい」と感じてもらえることが食欲の増進に役立ちます。ただし、高齢になると味覚が鈍感になるため、高齢者は濃い味付けを好む傾向にあります。好みに合わせつつも、塩分を控えて、健康面・栄養面に配慮しながら味付けをすることが大切です。 編集部: 介護食を嫌がる方に食べてもらうにはどのような工夫がありますか? 青木さん: 介護食を食べてもらうには、「おいしそう」と感じてもらうことが重要です。とくにミキサー食やゼリー食のように、もとの食材がわからない場合は、目でも楽しめるように形を整えることをおすすめします。ほかには、料理のメニューを伝えることも有効です。「食べてみよう」という意欲を引き出せることもあります。
食事介助の際の流れは? 食前・食中・食後の注意点
編集部: 食事介助をする際、食前の注意点はありますか? 青木さん: まずは食事介助の前に、介助者の姿勢が適切か確認します。基本的には座った状態で食事をしてもらいますが、座位を維持するのが困難な方には体の角度を45~60度程度に倒した状態で食べていただくこともあります。クッションなどを適宜使用し、食べやすい姿勢に整えることも重要なポイントです。また食事介助をする前に、右側・左側のどちらから食事介助をするのか、スプーンの大きさが適切かなども確認します。 編集部: 食事介助中の注意事項を教えてください。 青木さん: 食事介助中は、誤嚥や窒息のリスクに注意する必要があります。そのため「一口の量が適切であるか」を確認し、口に運んだ後は飲み込んだことを都度確認します。重要なポイントは、飲み込んだことを確認してから、次の一口を介助することです。 編集部: 食事介助を終えた後も注意すべき点はありますか? 青木さん: 食事を終えた後は、服薬を忘れていないかを確認しましょう。高齢者の多くは薬を服用しており、服用のタイミングは薬によってバラバラです。どのような薬を服用しているかを把握しておきましょう。また、誤嚥を予防するには食後の口腔ケアが重要です。さらに食後すぐに横になると、食べたものが逆流して嘔吐や逆流性食道炎の原因になります。食後30分は横にならないよう注意しましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 青木さん: 介護食は噛む力・飲み込む力が弱くなった方の介護に不可欠です。しかし、必要以上にやわらかい介護食を提供するとますます噛む力・飲み込む力が弱くなる原因にもなりかねません。適切な介護食の形態を見極めるためには、専門医の診断を受けることもおすすめします。