フィギュアスケート上薗恋奈が高橋大輔から学んだ「美」 注目度上昇の14歳が強化合宿で収穫
【記録より記憶に残る選手に】 昨シーズンの世界ジュニア選手権で島田麻央が2連覇を達成。その表彰台にはもうひとりの日本人選手がいた。名古屋市出身の14歳、上薗恋奈だ。 【写真】フィギュアスケート「13歳の新星」上薗恋奈・インタビューカット集 上薗は、ジュニアデビューシーズンにジュニアグランプリ(GP)ファイナルで表彰台に立ち、全日本選手権でも4位入賞すると、その勢いのまま世界ジュニアでもショートプログラム(SP)8位からフリーで3位につけ、銅メダルを獲得した。 抜群の安定感と、クラシカルな音楽も個性的な音楽も演じきる感性を持つ。まだジュニアだが、「記録より記憶に残る選手になりたい」(世界ジュニアのコメント)と話す上薗は、ジャンプはもちろんのこと、スケーティングや表現にも力を入れる。 自分の魅力は何か、それを観客に伝えるにはどうしたらいいかを常に頭に入れて滑っている。 7月に行なわれたジュニアの強化合宿では、講師の高橋大輔から多くのことを学んだ。個人練習の時間にはプログラムの音の取り方や動きの強弱を、全体練習ではフリーレッグの美しいさばき方をあらためて学び、「指先、爪先まで意識を向けることを教えていただきました」と収穫を語った。 昨シーズン結果を出してきた上薗は、今季さらに注目を集めることになるだろう。しかし、彼女は「知られているということはうれしいことですし、活力にもなります。プレッシャーも楽しみながらできたらいいのかなと思います」と話す。 今季のSP『Voila』の邦題は『これが私』。少し大人っぽいシャンソンだが、「自分のスケートを世界に見せていきたい」と言う彼女にぴったりなプログラムではないだろうか。メイクやおしゃれが大好きな14歳は、氷の上での美しさにも磨きをかけていく。
【高橋大輔コーチのレッスンで「筋肉痛」】 このジュニア合宿には島田、上薗以外にも期待のジュニア選手たちが集まっていた。 2023年世界ジュニア3位の中井亜美、2024年世界ジュニア5位の櫛田育良、2024年ユース五輪銅メダリストの髙木謠をはじめ、伸び盛りの河野莉々愛、金沢純禾、和田薫子などが今季どこまでその力を見せてくれるのか注目したい。 また、男子も2024年世界ジュニア2位の中田璃士や、「もう一度ジュニアGPファイナルに行きたい」と誓う中村俊介、ジュニアラストシーズンに気合いを入れる垣内珀琉のほか、その3人を追う蛯原大弥、高橋星名、西野太翔が合宿に参加。 全員が「高橋先生のレッスンで筋肉痛です」と話していたが、今季どれだけ成長を見せてくれるのかも楽しみだ。 中田は今季のSPではクールなフラメンコに挑戦。フリーでは新しい大技・4回転ループの投入も視野に入っている。それぞれがすばらしい個性を持ったジュニアスケーターたち。 8月末から始まるジュニアGPシリーズでは、出場選手全員が笑顔で演技を終えられるよう祈りたい。 全日本ジュニア合宿の他の記事を読む>>
山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko