ソーシャルメディアが「選挙への不安」をさらに悪化させる可能性、米大統領選挙目前
米国では、大統領選挙の投票日まで残りわずかとなった。テレビCMや、支持する候補者を表明する庭のヤードサイン、クルマのバンパーステッカーなどを目にすることが増え、どうしても雰囲気にのまれがちだ。 米国はどうやら、政治的分断によって悪化した終わりなき選挙サイクルに陥ってしまったようだ。こうしたなかでは、さまざまなノイズから逃れることは不可能だ。 さらに注意すべきことがある。ソーシャルメディアはいまや、友人とバケーションを楽しむ写真を披露したり、好きな映画やレストランについてコメントしたりする場というよりも、他人を貶めるデジタル媒体となってしまった。これが、無駄なストレスや不安を招く可能性がある。 「選挙の時期は厄介で、気をつけないと神経がすり減ってしまうことがある」ジョージア州にあるオーガスタ大学ハル・カレッジ・オブ・ビジネスで経営学講師を務めるステイシー・ロバーツはそう忠告する。「情報を把握しつつ、ストレスを抱えたり、燃え尽きたりしないよう、うまくバランスをとるのが得策だ」 ■選挙に関する情報は、ソーシャルメディアで収集しないほうがいい 選挙では、事前にリサーチし、十分な情報をもとに投票先を決めることが重要だが、ソーシャルメディアは、情報収集先として望ましくないかもしれない。誤った情報が拡散することや、意図的なデマが広められることがあるだけでなく、プラットフォームはいまやエコーチャンバーと化し、反対意見が見えなくなってしまうため、最善の見解が得られない可能性がある。 「現在は、否定的な感情を誘発するような話術や不安を煽る方策が蔓延しているので、人々はそれを認識する必要がある。議論を両方の視点から検討すること、政治関連のメディア情報にさらされる機会を制限すること、そしてソーシャルメディアでは政治とはかかわりのない情報をフォローすることが必要だ」とペンシルベニア州ウィルクス大学のユージン・ルーカス准教授はそう話す(同氏は、精神科/メンタルヘルス専門公認看護師を養成する通信教育プログラムのコーディネーターを務めている)。 「信頼できる情報源で、情報のファクトチェックを行うのは役に立つ」ルーカスはそう語る一方で、プラットフォームは誤情報の拡散を阻止できていないという。