ソーシャルメディアが「選挙への不安」をさらに悪化させる可能性、米大統領選挙目前
今回の選挙戦がこれまでになく「ひどい」可能性
「ソーシャルメディアを利用する人は、そこで得たすべての情報についてファクトチェックを行い、虚偽情報や、人を中傷する情報を受け入れないようにすべきだ」とルーカス准教授は述べる。「信頼できるソーシャルメディアプラットフォームをしっかり見極め、検討できる非政治的な情報は他にもあることを念頭に置いた上で、時間を費やすべきだ」 ■今回の選挙戦がこれまでになく「ひどい」可能性 ご存じのように、ソーシャルメディアにおける分断は、かつてないほど深まっている。さらに、米国が政治的に分断されているのに加えて、中国やロシア、イランなどの国々が、米国民を分かつべく全力で工作していることが確認されている。それに加えて、各種プラットフォームは、溢れるコンテンツの内容に対してほとんど制約をかけていない上に、技術的進歩は、虚偽コンテンツの作成をかつてないほど容易にしている。 セントラル・フロリダ大学で心理学を研究するネイサン・ボウリング准教授は、「ソーシャルメディアではしばしば、出来事が大惨事であるかのように騒がれる」と注意を呼びかける。「例えば、オハイオ州スプリングフィールドで移民たちが猫を食べているという、事実に反することでも、ストレスの原因になり得る。古くから言われているように、『残酷な事件であればあるほどトップニュースになる』。否定的なニュースは、どんなときでも不足しない」 その上、人々はますます、感情を刺激されやすくなっている。つい議論が始まり、そこから言い争いやストレスフルな会話へと発展してしまいがちだ。こうした展開は疲れるし、個人同士の問題の解決にもつながらない。 オーガスタ大学のロバーツ講師は、「他者の視点について話し合い、学べるのはいいことだ」と話す。「しかし、難しいテーマを健全な方法で話し合うことができない場合は、自分の平安を守るほうがいい」 ソーシャルメディアの使用を控え、選挙戦のさなかにストレスをあまり感じずに済むようにするためにできることはいくつかある。例えば、ソーシャルメディアの閲覧時間を制限したり、政治的な議論には一切参加しないようにしたりするのもいい。 選挙が終わるまでの間は、ソーシャルメディアをオフにするのも一案だ。 「今回の選挙戦は、『デジタル・デトックス』に挑戦するのにうってつけの機会かもしれない」とロバーツは言う。「選挙が終わるまで、ソーシャルメディアを一切使わないよう、アカウントを『休止』モードにしてみるのもいいだろう」
Peter Suciu