「激辛チップス」で死亡や味覚障害も、意外と知らない辛い食べ物のリスク、”面白半分“でない楽しみ方を
海外事例に学べ
過剰摂取による健康被害のリスクがある食品は激辛チップスだけではない。例えばお酒は一気飲みなど短時間で多量を摂取すると死に至る。今はよく知られるようになったが、かつてはこのリスクが話題となることはほとんどなく、会社の宴会などで一気飲みの強要は珍しくなかった。 酒の一気飲みのリスクが知られるようになったのは、大学生の一気飲みによる死亡が相次いだことが大きい。大学生の死という犠牲があって初めてリスクが認識されたわけだ。とはいえ、今でも新入学シーズンに悲しいニュースが報じられることがある。 海外で健康被害が起きた数年後に日本で同じような健康被害が起きることがある。カフェインを多く含むエナジードリンクによる健康被害の事例がそうだ。 米国で2011年、14歳の少女がエナジードリンクを飲んだ後に死亡する事故が起きた。日本ではその3年後の14年、20代男性がエナジードリンクによるカフェインの過剰摂取で死亡している。男性の血中濃度のカフェインは1ミリリットル当たり182マイクログラムと、致死量の同70マイクログラムの倍以上あり、エナジードリンクの過剰摂取が原因とされている。 男性の死亡事故を受け、日本でもカフェインの過剰摂取のリスクが知られるようになったが、米国の少女の死が日本で警鐘にならなかったのは残念だ。 激辛チップスによる死亡事故は日本ではまだ起きていない。しかし、海外では死亡事故が起きていることを忘れてはいけない。自分や家族、友人が被害者とならないためにも、激辛食品のリスクをしっかり認識しておきたい。
平沢裕子