“F1日本グランプリ公式アンバサダー”市川團十郎の舞踊や佐藤琢磨選手のトークショーも披露された歌舞伎座史上初のF1パブリックビューイング開催
東京都中央区銀座の歌舞伎座で、F1 ラスベガスグランプリを大型スクリーンで観戦するパブリックビューイング「Live screening of the FORMULA 1 HEINEKEN SILVER LAS VEGAS GRAND PRIX 2024 in KABUKI-ZA TOKYO」が11月24日に開催された。 【画像】パブリックビューイングの実施を記念して車両展示されたRed Bull Racing Honda「RB16B」(2021年仕様) 来シーズンの2025年も鈴鹿サーキットを舞台として、4月4日~6日の日程で「2025 FIA F1世界選手権シリーズ 日本グランプリレース」が開催されることもあり、さらにF1の人気を高めていくことを目指して行なわれたこのイベントでは、歌舞伎座史上で初めてF1のパブリックビューイングが実施されたことに加え、市川團十郎さん、市川新之助さん、佐藤琢磨選手の3人がゲストとして出演。パブリックビューイングに先駆けて実施された第1部では、市川團十郎氏による歌舞伎舞踊や3人によるトークイベントが行なわれた。 ■ 市川團十郎さんによる歌舞伎舞踊「延年之舞」 パブリックビューイングに先駆けて実施された第1部では、まず市川團十郎さんによる歌舞伎舞踊「延年之舞」が披露された。 延年之舞は歌舞伎演目「勧進帳」の後半で、危機を脱した義経一行の武蔵坊弁慶が披露する舞。長寿や平和を祈る思いが込められた舞であり、團十郎さんにとっても思い入れの強い舞踊だと説明された。 ■ F1や歌舞伎に関するトークイベントを実施 市川團十郎さんによる舞踊に続いて行なわれたトークイベントでは、ゲストの3人が舞台上で並び、それぞれにF1に対する印象やエピソード、歌舞伎とF1の共通点などについて語った。 團十郎さんは父親の十二代目 市川團十郎がF1の大ファンだった影響で、父親がTVでF1観戦していた隣に座って子供のころからF1を見ていたというエピソードを語り、とくに舞台上に置かれたフェラーリのF1マシンには大興奮だとコメント。 それぞれ長い歴史を持ち、技術と伝統の結晶である歌舞伎とF1の共通点について質問された團十郎さんは、「難しいことを聞きますねぇ。でも、どんな時代にも守っていくべきものと、時代に合わせて研究して新しく造り上げていくものというのは、どんな世界でも一緒なんじゃないでしょうか。(舞台上に並べられている)この2台を見ても、完璧だと思っていたものでもさらに進化していく。時代を感じました、空気抵抗も見るからに違いますよね。そういったところも、時代ごとに向き合う人の技術を感じます」と語った。 最後のコメントを求められ、「F1のグランプリは3日間で22万人のファンがご覧になっているということで、世界中で注目されているレースをこの歌舞伎座に集まって見るという経験は、いつもとは違う臨場感があるのではないかと思います。そして来年の4月に鈴鹿で行なわれるレースでは、私もアンバサダーということで、また歌舞伎を披露させていただきたいと思っておりますので、ここに来られた皆さまも、ぜひ鈴鹿の方にもいらっしゃってくださったら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします」と語り、さっそくアンバサダーとして2025年のF1 日本グランプリをプッシュした。 琢磨選手は実際にサーキットで行なわれるレースを現地で観戦する意義について「舞台も生で観客に見てもらうことは全然違うと思うんですが、それはF1も一緒なんです。とくに臨場感はサーキットに行くと、パソコンやTVの画面で観戦する何十倍も凄いと思うので、せひ体験していただきたい。空気感が違って、ドライバーが暴れるマシンを抑え込んでいくような姿は生でなければ見られないですね」とアピール。 また、團十郎さんが口にした「常に前に進もうとする意識が伝統文化の現状維持につながる」という言葉を受け、琢磨選手も「まさにF1も一緒ですね。技術で『これでいいだろう』と考えた瞬間に停滞を意味してしまう。全員が常に前に進み続けて、全員が上がっていくのでようやくそこから一緒に戦える。ラストの1%のしのぎを削っていくのがF1なんです」とF1で戦っていく厳しさを表現した。 歌舞伎とF1の共通点では、長丁場で集中力を維持していくポイントが一緒だと團十郎さんと琢磨選手が説明。維持し続けることができない集中力をどこで抜いて休むか、休ませ方がポイントで重要だと琢磨選手は紹介し、例えばインディカーでは直線で車速が380km/hにまで達するが、レース中にやることはアクセルペダルを踏み続けることだけになる。一般のドライバーはクルマの速度が高くなると視野が狭くなって緊張度が増していくが、レーシングドライバーは速度が上がるほどリラックスしていき、直線でリラックスして集中力を温存して、次のコーナーに入るときに一気に集中力を高めるメリハリがあるからこそ2時間、3時間といったレースでハイパフォーマンスが維持できると述べた。 新之助さんは初めて見たF1マシンについて「想像以上にF1カーは大きくて、乗ったら怖そうだけど、1度乗ってみたい」と感想をコメント。レース観戦の経験もまだなく、ぜひオンラインでの動画ではなく、実際に走っている現場に行ってきたいと語った。 トークイベント中に團十郎さんが「F1日本グランプリ公式アンバサダー」に就任することも発表され、舞台上で就任式が執り行なわれてF1 日本グランプリ 大会組織委員長の上村誠児氏から團十郎さんに委嘱状が手渡された。
Car Watch,佐久間 秀