いったいなぜ? ファッションショーで相次ぐスマホ禁止。背景と真意を深堀り
究極のクワイエット・ラグジュアリー・ブランド、「ザ・ロウ」のファッションショーには常に、排他的な雰囲気が漂う。だが、このブランドの2024-25年秋冬シーズンのショーでは、それとはまた“別の排他性”が感じられていた。それは、このブランドの創設者でもあるデザイナーたちが新たに採用したポリシーのため。 【写真】BLACKPINK リサ&ジェニーや広瀬すずほか、華麗セレブが来場! 2024-25秋冬パリコレのフロントロウを総覧
パリでのファッションショーが開催される直前、ゲストたちには会場での撮影と映像のシェアを控えるよう求めるメールが送信された。そして、ショー当日の会場ではすべての座席に、ノートとペンが置かれた――誰もがスマホを持つようになる前の時代のショーのように。
それ以来、「ザ・ロウ」のこの新たな方針については、さまざまな議論がなされている。これは、テクノロジーというプリズムを排して、ゲストたちに“その場で”の特別な体験してもらうための新たな方法なのだろうか? ルックを見ることに集中し、記憶とメモにとどめ、自らのフィルターを通して訴求してほしいというメッセージなのだろうか? あるいは、一部の人たちが主張するように、ファッション界に再び壁を巡らせ、関係者以外を排除するためなのだろうか?
ファッションライターのライアン・フィンはTikTokで、「ザ・ロウ」のこの新たな方針は、ブランドに「さらなる文化的な力と優位性を与えるもの」だと述べている。
また、「ファッション・ロードマン」の名でYouTubeチャンネルを開設しているファッション・ジャーナリストのオデュナヨ・オジョは、「Is The Row Becoming Too Elitist?(「ザ・ロウ」はエリート主義に走りすぎ?)」のタイトルをつけた動画で、自身の考えについて語っている。
「ザ・ロウ」は確かに、議論を巻き起こしたかもしれない。だが、こうした対応を取り始めているのは、このブランドだけではない。
ファッションを“民主化”してきたことで知られるイギリスのデザイナー、マーティン・ローズも、2024年1月に開催したショーでスマホの使用を禁止。その理由について、「電話には常に、私たちをその場から引き離し、気を散らし、遠ざけるという問題があります」と話している。