【解説】どうする?日銀 “長期国債買い入れ減額”方針も円安続く、焦点の利上げはいつ?
■次の利上げはいつ?政治との関係
――この後、日銀はこれからどうするんでしょうか? こちら、金融政策決定会合の日程と政治のスケジュールです。日銀は独立していますが政治的に中立を求められているので、大きな選挙の前は政策を変更しにくいんです。 前回の解説のあと、都知事選が与野党にとって重要な選挙になりました。6月の利上げは難しくなり、では、7月は?国債の減額の計画を7月に出すと決めましたので、私は、同時に利上げというのは、非常にしにくくなったと思います。植田総裁は会見で、データが揃えば7月もありうるとは言ってましたけど、現実的には市場の混乱なども考えられ、7月の可能性は低くなりました。 そうすると秋、政治の季節です。9月には自民党総裁選があって利上げはしにくい、利上げをして住宅ローンが上がったり、中小企業の融資の金利が上がると政治に影響します。そのあと10月は解散総選挙の可能性やアメリカ大統領がどうなるか、いろいろな状況があります。 ――先行きが不透明ですね。 日銀は中期的には、金融の緩和でも引き締めでもない中立金利、これはだいたい1%以上ということになりますか、そこまでもっていきたいんです。できれば年内にポンポンと上げて、12月か、春くらいまでに0・5%くらいまでの金利にはしたいと考えているのかなと。ただ、データに沿って進んでるとはいうものの、実質賃金はまだマイナスですし、消費は弱いところもありますので、秋から冬にかけてというのは相当慎重な判断になりそうです。 ――岸田政権との関係性というのもありますしね? 日銀は過去、利上げを失敗して責められた経験があります。それから植田総裁は、日銀のOBがバックにいる、あるいは財務省がバックにいる、それとはタイプが違う学者出身の総裁です。岸田政権のもとで選ばれたので、やはり政権や政府との関係も慎重に考えるとみられます。 次の7月、どういった経済や経済の状況になっているか注目したいと思います。