エヌビディア、売上高見通し予想超えも減速に懸念 株価下落
Max A. Cherney Arsheeya Bajwa [20日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアが20日発表した第4・四半期(11─1月)の売上高見通しは市場予想をやや上回った。ただ、一部投資家のより大きな期待には応えられず、株価は引け後の時間外取引で1.5%下落した。決算発表直後には5%下げる場面もあった。 11─1月期の売上高見通しは375億ドル(プラスマイナス2%)。LSEGのまとめたアナリスト予想は370億9000万ドルだった。エヌビディアの見通しは11─1月の増収率が約69.5%と8─10月期の94%から減速し、7四半期ぶりの低い水準になることを示している。 依然として高い伸び率だが、売上高が少なくとも倍増していた過去数四半期と比べると明らかな減速となる。 コレット・クレス最高財務責任者(CFO)は最新の人工知能(AI)半導体「ブラックウェル」の11─1月期売上高について、数十億ドルとしていた当初見通しを上回るとの見方を示した。 ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は「今四半期に従来予想を上回る数のブラックウェルを出荷する」と述べた。 ブラックウェルを搭載したサーバーに過熱の問題が生じているとの報道について、フアン氏は問題はないとし、マイクロソフトやオラクルといった顧客がシステムを導入していると説明した。 クレス氏によると、ブラックウェルの売上総利益率は当初70%台前半になるが、生産拡大に伴い70%台半ばに上昇する見通し。 フアン氏は「AI時代が本格化し、エヌビディアのコンピューティングへの世界的なシフトを後押ししている」とし、「(既存製品)『ホッパー』に対する需要と、フル生産しているブラックウェルへの期待は非常に強い」と強調した。 決算発表を前に投資家の期待は高まり、エヌビディアの株価は過去2カ月で20%超上昇していた。年初来では4倍近くに上昇し、過去2年間で9倍以上になっている。 同社の半導体に対する需要は急増しているが、サプライチェーン(供給網)の制約により、以前ほど大幅な売上高の予想上振れは難しくなっている。 ボトルネックの一つは生産を委託している台湾積体電路製造(TSMC)の高度な製造技術の能力が限られていることだ。 クリエイティブ・ストラテジーズのベン・バジャリンCEOは、需要が供給を上回る中、2025年の大半を通じて供給網の制約が続く見通しだと指摘。「ブラックウェルは従来品よりTSMCによる高度なパッケージングが増えるため、しわ寄せがいく」と述べた。 フアン氏はTSMCとの具体的な生産面の問題についてコメントを控えたが、「(ブラックウェルを)立ち上げるにつれ、生産ラインを増やし続け、歩留まりを向上させ、サイクル期間を改善していく。これら全てが生産を高める」とロイターに語った。 エヌビディアはブラックウェルの設計上の不具合について、TSMCが使用する設計図を変更することで修正したと明らかにした。 テックアナリシス・リサーチのアナリスト、ボブ・オドネル氏は「潜在的な供給網の問題に関するうわさは明らかに懸念材料だ」と述べた。 8─10月期の売上高は350.82億ドルで、市場予想の331.62億ドルを上回った。調整後の1株当たり利益は0.81ドルで、予想の0.75ドルを上回った。 収益の大半を占めるデータセンター部門の売上高は112%増の307億7000万ドル。前四半期は154%増を記録していた。 調整後の売上総利益率は75%に低下した。