仕事先の大失敗で苦情連発…予定通りに行動できない「発達障害グレーゾーン」30代女性の「生きづらさ」
公認心理師として行政や企業などの職場で約1万人の悩みを聴いてきた舟木彩乃さんは、相談ごとの中に、発達障害グレーゾーンの特性から来る問題がひそんでいることが多いと話します。 【マンガ】息子の暴力が止まらない…発達障害と向き合う「母の悩み」 病院で診断を受ける「発達障害」とはちがう「グレーゾーン」とはどのようなものなのか、周囲はどのように対応すればよいのか『発達障害グレーゾーンの部下たち』より一部抜粋・編集して解説します。
特に発見が難しいASDとADHD
グレーゾーンを理解するには、当然のことですが、発達障害を理解する必要があります。発達障害は細かく分類されているのですが、 主に知られているのは、「自閉症スペクトラム障害:ASD(Autism Spectrum Disorder)」、「注意欠如・多動性障害:ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)」、「限局性学習症:LD(Learning Disabilities)」(以降、学習障害またはLD)の3つです。 これら3つの発達障害は、疾患として別々に分類されているものの、それぞれの特性は重なっていることがあります。また、複数の疾患が合併することもあります。そのため、どの疾患に当たるのか明確に分けられず、診断が難しくなります。 この中でLDは、全体的な知的発達に遅れがなく、視聴覚にも障害がないにもかかわらず、読み・書き・計算など特定の領域で学習の遅れが見られる状態です。 小学生になって国語や算数を学び始めたタイミングで発見されることが多いため、職場で問題になるのは大人になって発見されるグレーゾーンであるASDとADHDが多いといえます。 ASDとADHDでも、発達期に発見されて診断名がついた場合は、特性に合った訓練を受けられたり障害者手帳が交付されたりして、適切な支援を受けることができます。 そのため、発達障害の診断がついた場合より、グレーゾーンのほうが大人になって問題になることが多いのです。