神戸・武藤 32歳で初MVP 昨年大迫に続きチーム2人目「家族にささげたい」神戸で単身赴任中
Jリーグは10日、横浜アリーナで年間表彰式「Jリーグ・アウォーズ」を開催し、J1神戸で13ゴール、7アシストと活躍して2連覇に貢献したFW武藤嘉紀(32)が最優秀選手賞(MVP)に初めて選ばれた。神戸からのMVPは2人目。ベストイレブンには神戸から武藤と昨季MVPのFW大迫勇也(34)、DFトゥーレル(25)と最多の3人が選ばれた。得点王は24ゴールを挙げた横浜Mのアンデルソンロペス(31)が2季連続で獲得した。 武藤は時折、天を見上げながら、晴れやかな表情でトロフィーを受け取った。私生活も犠牲にしてサッカーに打ち込み、32歳で初のMVP。「2連覇を成し遂げられたのは家族の支えあってのこと。MVPは家族にささげたい」とスピーチした。家族を都内に残して単身赴任し「参観日など、子どもたちの行事も参加してあげられなかった」と後ろ髪を引かれる思いと戦ったことも明かした。 常に100%のプレーと強い精神力で2連覇をけん引。逆境での驚異的な強さはチームに何度も勇気を与えた。4月20日・湘南戦では肋骨(ろっこつ)を骨折しながらも決勝点を挙げた。苦しんだ終盤の11月30日・柏戦は後半追加タイムに値千金の同点弾。三つどもえの優勝決定となった最終節を1位で迎える状況に導くと、8日・湘南戦は2点目を入れ、優勝のゴールテープを切った。 チーム最多13得点は、自身でもFC東京時代の2014年に並ぶ最多タイ。「一見、華やかな経歴に見えるが、ケガや挫折、紆余(うよ)曲折があって今がある。そんな経験が人として選手として、強くしてくれた」と、苦難のサッカー人生を振り返った。今季は大迫や宮代を生かすため、サイドハーフでのプレーも自在に変化。貢献が認められ、ベストイレブンとのW受賞に「来季もさらに成長できるよう、成長してまい進したい」と進化を誓った。 ◆武藤嘉紀(むとう・よしのり)1992年7月15日生まれ、東京都世田谷区出身。慶大在学中の2013年7月に特別指定選手としてFC東京でJリーグデビュー。15年からマインツ、ニューカッスル、エイバルと海外クラブに在籍、21年8月に神戸に加入した。14年に日本代表に初選出され、18年ロシアW杯に出場。179センチ、72キロ。