競争激化とコストアップでネット通販業者が苦戦 「通信販売・訪問販売小売業」倒産が過去最多
7月までに90件、年間最多を更新の可能性高まる
「通信販売・訪問販売小売業」の倒産は、規模別では、資本金「1千万円未満(個人企業他含む)」が75件(構成比83.3%)、負債額「1億円未満」が81件(同90.0%)、従業員数「10人未満」が86件(同95.5%)と、小・零細規模の事業者がほとんどを占めている。 運送業者の「2024年問題」や人手不足の深刻化のなかで上昇する商品配送費を、通販業者が負担するケースは多い。消費者庁は「送料無料」表示の見直しに取り組むが、利用者の間に浸透した「送料無料」という慣習が変化するには時間が必要だろう。 また、すでに大手ECモールなどでは出店料の値上げが始まっている。中小・零細企業など、自社ECサイトを構築する資金力や技術力、人材を持ち合わせない事業者は、既存プラットフォーマーに依存せざるを得ず、今後、影響が表面化してくるおそれもある。 体力の乏しい事業者を中心に、売上減少とコスト上昇による利益圧迫という厳しい事業環境が継続することも懸念される。現状のペースをたどると年間では過去最多を更新し、集計開始以来初めての150件台に乗せる可能性も出てきた。