房総半島沖でスロースリップ現象を確認 今後千葉県沖で震度5弱程度の地震に警戒を
今後の経過は不明だが注意は必要
政府の地震調査委員会は1日に臨時会合を開き「今後も(千葉県東方沖を震源とする)震度5弱程度の強い揺れが観測される可能性がある」との評価をまとめた。この根拠は2007年のスロースリップ現象による地震では最大震度5弱を観測しているからだ。
これまでの房総半島沖、千葉県付近を震源とするスロースリップ現象による地震の最大エネルギーはM5程度だ。ただ、今回一連の地震が発生しているエリアは南側からフィリピン海プレートの下に東側の日本海溝から太平洋プレートが沈み込んでいる。このエリアは地震調査研究推進本部による「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価」の対象で、M7程度の大きな地震の「30年以内の発生確率は70%」だ。
多くの専門家はスロースリップ現象では、すべった部分のひずみは解消しているがその周辺のひずみによるストレスまでは解消されずに溜まっているとみている。地震調査委員会の平田直委員長(東京大学名誉教授)は会合終了後の取材に「地震活動が今後どのような経過をたどるかどうか分からない」としている。 現在頻発している千葉県付近の地震。専門家は巨大地震が切迫しているとは言っていないが、いずれ来る大地震、巨大地震と無関係と断定もしていない。現在の地震学ではまだ未解明なことが多い。過去の大地震では「想定外」のことが度々起きている。一連の頻発地震を可能な限り地震被害を低減するための警告と受け止めたい。 (内城喜貴/科学ジャーナリスト、共同通信客員論説委員)