かつての主戦場だった６２キロ級に再び落として優勝した尾崎野乃香

　「レスリング・全日本選手権」（２０日、代々木第二体育館） 　女子６２キロ級が行われ、今夏のパリ五輪６８キロ級銅メダルの尾崎野乃香（２１）＝慶大＝が、全日本選抜選手権２位の竹元紫凛（１８）＝京都・丹後緑風高＝を３分１８秒、１０－０のテクニカルスペリオリティーで圧倒し、２年連続４度目の優勝を果たした。２８年ロサンゼルス五輪挑戦を明言した上で、階級については「今回パリ五輪も本当は６２キロ級で出たかったが、６８キロ級で出場できた。こんなこともあるので、（今後）４年ある中で決めつけることもできない。今は６２に落としたが、今後のことはわからない」と語った。 【写真】感動のシーン！盟友と涙の抱擁を交わす尾崎野乃香 　尾崎は五輪階級では６２キロ級を主戦場としていたが、パリ五輪の代表争いに敗れた。失意を乗り越え、ラストチャンスに懸けて大幅増量を経て６８キロに挑戦し、今年１月の代表決定プレーオフを制して悲願の五輪切符を獲得。今夏のパリ五輪では銅メダルを獲得し、現役の慶大生としては女子初のメダリストにも輝いた。 　五輪後はマットを離れて長期休養を取り、「すっかり一般人みたい（な生活）になった」。最大７０キロまで増量していた体重も、休んでいる間に落ちたこともあり、１０月から練習を再開し、今大会への出場を決める際には元々の６２キロ級を選択。ただ、６８キロ級で戦った際に培った財産も残っており、「ガッツの強さや力で戦い合うのは今までなかったが、それを６８キロ級で得た」と、肉体に刻んだ経験に自負を込めた。 　今夏のパリ五輪日本代表１３人の中で唯一、今大会に出場し、最速で再始動した。「（今回）出て良かったし、五輪のことは過去のことになった気がする」。現役慶大生の文武両道レスラーは「今回の結果（パリ五輪の銅メダル）に対して、自分の過去を責めることは全くない。次のロサンゼルス五輪を目指すので、今後の五輪予選が始まる２年前（２０２６年）から、自分の体と今と昔の状態をすり合わせながらやっていきたい」と、悲願の金メダルを見据えて前を向いた。 　◆尾崎野乃香（おざき・ののか）２００３年３月２３日、東京都足立区出身。吉田沙保里らに憧れ、７歳からＢＲＡＶＥ　ＧＹＭでレスリングを始めた。小、中で日本一になり、高校進学時の１８年にＪＯＣエリートアカデミーに入校。６２キロ級で２０年全日本選手権で初出場初優勝を果たし、２１年世界選手権では銅メダルを獲得。２２年には金メダルを獲得した。６２キロ級ではパリ五輪代表を逃したものの、６８キロ級で２４年１月のプレーオフを制し、代表切符を獲得。パリ五輪では現役慶大生としては女子初のメダリストに輝いた。１６４センチ。