「白バラコーヒー」が関東に進出したきっかけは「成城石井」だった!著名人が絶賛し、SNSで話題になるワケ
鳥取県発祥の「白バラコーヒー」をご存知だろうか。中国・四国地方や関西地方在住の人にとっては、コンビニやスーパーなどでよく見かけるなじみ深い乳飲料かもしれない。 【写真】製品パッケージのイラストにある山は、鳥取県が誇る中国地方最高峰「大山」がイメージ 現在では鳥取県出身の著名人やYouTuberによって取りあげられ、SNSでは鳥取県のお土産として購入する人の投稿も見られたりと、多くの注目を集めている。では、どのようにして全国的知名度を獲得するにいたったのか? 今回、白バラコーヒーを製造・販売する大山乳業農業協同組合(以下、大山乳業)販売部営業課の谷口徹さんに、販売エリアの分布と人気の秘訣について話を聞いた。 ■コンビニでの取り扱いが決まり、1990年代後半に関西、山陽地方で販路拡大 白バラコーヒーが開発されたのは1970年代後半のこと。このころ、前身製品の「白バラソフトコーヒー70」が発売されていたが、大山乳業の取引先である生活協同組合(以下、生協)から、「なんとか香料抜きの製品を作れないか?」という要望が寄せられた。そこから幾度もの試行錯誤を経て、誕生したのが白バラコーヒーだ。 白バラコーヒーの発売からしばらくは、関西地方と中国地方で主に販売されていた。しかし、1990年代後半に大きな転機を迎えた。 「関西地方と山陽地方の大手コンビニさんでの取り扱いが始まったのを皮切りに、そのほかのコンビニチェーンでも販売されるようになりました。そして現在、関西、中国、四国地方のコンビニでの取り扱いがあります」 とはいえ、SNSでは「関東では販売されていない」「コンビニでも関西までしか販売されていない」とたびたび話題になり、一部では「幻のコーヒー牛乳」と呼ばれることも。これに対し谷口さんは「販売エリアによっては、生協さんでの取り扱いのほうが多かったりするので、スーパーやコンビニではあまり見かけないのかもしれません」と話す。 ■関東に進出したきっかけは「成城石井」 前述のとおり、1990年代後半から関西、山陽地方のコンビニでの販売が増え、その存在が徐々に認知されていった白バラコーヒー。だが、関東での販売開始のきっかけは別にあったという。そして当時の様子について、谷口さんは次のように語る。 「成城石井の元社長が、かねてより『鳥取県においしい牛乳がある』という情報を得ていたそうです。それがきっかけとなり、成城石井で白バラ牛乳・白バラコーヒーの販売がスタート(※一部店舗は除く)しました。最初は関西での販売でしたが、のちに関東で販売されるようになりました」 2015年には東京営業所を設立し、関東地方への本格的な進出を開始した。現在は5名が常駐し、営業活動を行っている。 ■良質な生乳が人気の秘訣!さらに関西の大学でも... 鳥取県民のソウルドリンクであり、いまや日本全国で支持を得ている白バラコーヒーおよび白バラ製品。鳥取県出身者からはもちろんのこと、県外出身者からも「コーヒーとミルクのバランスが絶妙でたまらない」と大好評だが、その人気の秘訣とは? 「白バラ製品の生産者は、『良質な生乳でなければよい製品は作れない』という共通の認識を持っており、日々、生乳の品質向上と循環型酪農(※自然の資源を無駄にせず、再利用し循環させていく酪農)の実践に取り組んでいます。愛情を込めて乳牛を育てることで、良質な生乳が生産でき、それがよい製品づくりにつながり、ひいては今日の人気を築いているのだと思います」 また、スーパーやコンビニで販売されている一方で、実は関西の大学生にとってもおなじみの製品になっているという。「当組合は、関西の大学生協さんとは昔からつながりがあります。食堂や購買で売られているPBの牛乳やコーヒー牛乳は大山乳業が作っているものもあるんです」と話す谷口さん。 ■多くの著名人が絶賛!SNSではお土産として購入されることも 昨今、タレントやYouTuberなどの著名人が絶賛し、お土産として購入されることもある白バラコーヒーだが、これについて大山乳業はどのように感じているのだろうか。 「とてもありがたいですね。鳥取県出身のタレントさんや、芸人さん、アーティストさんがXやInstagramで投稿していただいています。中には白バラコーヒーのグッズも身につけて投稿していただいている方もいて、とても嬉しいです」 さらに、大山乳業が消費者に「白バラブランドのなかで好きなものは?」と聞くと、白バラコーヒーと答える声が多いそうで、谷口さんは「白バラコーヒーをきっかけにほかの製品にも興味を持ち、当組合の工場見学に足を運んでくださる方もいます」と語った。 丹精込めた製品づくりが商品の人気につながり、鳥取から関西、そして今では全国で認知されている白バラコーヒー。いつか日本中どこでも購入できるようになる日が楽しみだ。 取材・文=西脇章太(にげば企画)