「2浪筑波→プロ野球」今は医者を目指す彼の半生。元横浜DeNAベイスターズの寺田光輝さんに話を聞いた
この当時、寺田さんが志望する筑波大学体育専門学群は2段階選抜の足切りはなく、筆記・実技の総合評価で合否が判定されました。7割弱が目安だったため、寺田さんの「1次試験」の出来は十分でした。 そして迎えた2次試験。寺田さんは、運命の試験に十分な準備をして挑みました。 「2次試験は2つの競技の実技テストと、保健の筆記テストでした。保健の筆記テストは高校で習う範囲だったのですが、オリンピックの年だったので、それに関連する問題が出るだろうと重点的に対策をしたら、本番でも想定していた問題が出たのでよかったです。
実技試験は野球と陸上を選びました。野球はピッチャー枠で受けたので投球練習(※投手の場合)・トスバッティング・30m走。陸上は100m走、1500m走などの科目から走り幅跳びを選びました」 ■2浪で筑波大学に進学 万全の対策をして臨んだ甲斐もり、2浪のすえ、寺田さんは筑波大学体育専門学群に合格しました。 医学部受験やアルバイト生活などを経験した2浪を終えて、無事大学に合格した寺田さん。浪人してよかったことを聞くと、「自分の意思で物事を選択できるようになった」、頑張れた理由を聞くと「時間の有限性を痛感した」との答えが返ってきました。
「自分のなりたいものや、やりたいことに対して向き合い、最大限工夫をすることを覚えた日々だったと思います。後悔しないように、終わりを意識したからこそ頑張れたのだと思いますね。フリーターをしたことで、お金を稼ぐことが大変だとわかり、お金の価値を学べたこともよかったです」 筑波大学に進学してからの寺田さんは、朝9時から15時半まで授業を受けたあと、16時から20時半まで練習をする生活を続けます。三重大よりもさらにレベルが高い環境に驚きながらも、人が成長するためには環境がとても大切であることにも気づけたそうです。
「自分よりはるかにレベルが高い集団に入って、自分の上限が引き延ばされた感じがします。いくらやってもダメだと思ったこともありましたが、どうやったら周囲に追いつけるかを考えました。 自分で決めた1日のノルマをやり切ることに重きを置いて、PDCAサイクルを回すことを意識しました。筋力を鍛えたり、技術を鍛えたり、フィールディングをよくしたり……投球をする際の配球や打者の心理なども、いろいろと考えましたね。その積み重ねで実力を底上げできたのも、浪人時代の経験が生きているのだと思います」