TikTokの「おすすめ動画」はなぜクオリティが高く、ユーザーの関心にマッチするのか?
このイメージはつねにアップデートされ、アプリを開く時間帯や、アプリを再び開くたびに提示された新しい動画の候補リストが、ユーザーの興味にぴったり合うように設計されていることを意味する他のたくさんの選択肢によって微調整される。 私はそれを自分自身で見てきた。テスコや他のスーパーマーケットで働きながら、ティックトックを作成している人たちのランクについて私が書いていたとき、私のティックトックアルゴリズムがそれに適応した。私はこうした動画を探しだし、何度も繰り返し視聴していたので、ティックトックは私がスーパーマーケットの動画が好きなのだと思ったのだろう。 そして私は、スーパーマーケットの通路をカートを押しながら進み、チーズとバターのあいだを動きまわる人たちの動画を手に入れた。コロナ禍のなか店の行列に並んでハッシュタグチャレンジを実践する人々のストーリーを調査しながら、私が観察に別の変数を加えると、ティックトックは私の関心の1つと思われるもの――スーパーマーケット――と別の関心、つまり行列とを三角測量できると考えた。 ティックトックは店の外ではなくスーパーマーケットの中で行列に並ぶ人々の動画をすかさず提供してきた。この手の行列の動画はイギリスに拠点を置く店のものだが、それはアプリがどんな動画を見せるかを判断する際に、ユーザーの拠点を、使用しているデバイスのタイプといったほかの要素とともに考慮する傾向があるからだ。 それは、摩擦(もめごと)の低減というティックトックの主たる目的の1つを助けるためだ。好みの動画を見つける努力をするほど、何度もそこに戻る確率は低くなる。確実にユーザーのことを知り、高品質の動画を絶え間なく提供することで、ティックトックはユーザーに見捨てられるのを防ごうとしている。
クリス・ストークル・ウォーカー/村山 寿美子