TikTokの「おすすめ動画」はなぜクオリティが高く、ユーザーの関心にマッチするのか?
それに次いで、動画を少数のテスト用ユーザーからより大きなティックトックコミュニティへと押し出すべきかを判断するための重要な判断基準は、それがアプリのインターフェイスを使ってシェアされているかどうかだ。 どの動画がユーザーを惹きつけているかを判断する際にはコメントが次なる重要な重み付けになるが、動画を気に入ったことを示すダブルタップが多くの人たちにそれを見せる価値があることを示す指標としては最も役に立たない。 特定の動画に対し視聴者が楽しんでいるかを評価するためのこれらの要素は、スコアを与えるためにすべて一緒に計算される。そのスコアが未知のある閾値に達していれば、その動画は世界へと押し出され、広い範囲のティックトックユーザーに見てもらえる。 再視聴可能性、コメント、いいね、シェアなどに基づいて動画を採点するプロセスはそのユーザーの範囲内で繰り返され、その動画はますます拡散される。それは、やがて人々が興味を失い、動画がFor You Page(おすすめ)からはずれるまで続く。 面白いのは、ユーチューブをはじめとする他の多くのソーシャルメディアプラットフォームが大人気のクリエイターをユーザーに定期的に提供し続けるのと違って、ティックトックは愛をシェアしようとしている(もしくは、強力なメガスターをわずかな数生みだすのではなく、おそらく力強いパフォーマーを大勢生みだそうとしている)。 「多くのフォロワーをもつアカウントが投稿した場合、動画はたくさん視聴されがちですが、大きなフォロワー基盤を築き上げたアカウントのおかげで、フォロワー数もそのアカウントが以前視聴数の良い動画をもっていたかどうかも、おすすめシステムの直接要因にはならない」とバイトダンス側は話す。 実際、フィルターバブルや同じようなタイプのクリエイターによる同じタイプの動画が提供される無限ループを避けたがっている。同じバッキングトラックで、あるいは同じクリエイターが作成した2本の動画をユーザーに続けて見せれば、アプリのフィードは失敗したといえる。 こうしたデータポイントのそれぞれもまた、各ユーザーのイメージを構築するのに使われる。初めてティックトックを開くと、アプリが最も人気のあるコンテンツのいくつかをホーム画面上で目に飛び込ませてくる。 そして、どの動画を見続けているか、どの動画をスキップしているか、どの動画を何度も繰り返し視聴したかをチェックする。こうした判断の一つひとつ――動画に費やしたほんの一瞬に至るまで――が、見ているのがどんな人物か、どんなものを好むかというイメージをつくり上げる。