ランボルギーニの新型ハイブリッドスポーツ「テメラリオ」国内初披露、電動化でも変わらずデザイン
インタビューに答えながら、ボルカート氏は手元で最新のランボルギーニであるテメラリオのスケッチをしている。さっさという短いストロークだけで、誰が見てもテメラリオとわかるプロファイルが出来上がっていく。 「テメラリオも、ランボルギーニのデザインDNAを強く意識したデザインです。サーフェス(ボディ表面の形状)はこれまでと少し扱いを変えているし、ラインはよりクリーンです。でも、完成したデザインは、見る人にとってエキサイティングである点においては、従来と同様です。ワオエフェクト(Wowと感銘する結果を生むこと)がランボルギーニにはつねに求められています」
テメラリオでは、どう新しさを表現したのか。ボルカート氏によると、「ブランドエクステンション(他の業種とのコラボレーション)として付き合いのあるドゥカティに代表される、モーターサイクルの要素を採り入れた点にある」という。 「モーターサイクルは、なぜエキサイティングかというと、エンジンと車輪という、走りに関してもっとも重要な要素がむき出しに見えるからでしょう。そこでテメラリオでも、ミッドシップに配置したエンジンのヘッドが見えるようにしたし、リアから眺めると、後輪が見えるようフェンダーをデザインしました」
■ランボルギーニという唯一無二の存在であり続けること ランボルギーニのデザインで意識していることはなにか。ボルカート氏は「万人に好かれる必要はない」と言う。 「(クンタッチなどを出していた)1970年代は、競合といえばフェラーリやポルシェぐらいでした。今の(世界中からモータースポーツや高級車が集まるイベントである)ペブルビーチやグッドウッドには、数多くのスーパースポーツカーが出展されるようになっています。それらに共通するデザイントレンドのようなものがあるとしたら、ランボルギーニはそこからちょっと離れていたいと思っています」
誰もが遠くから見て、すぐランボルギーニとわかることを大事にしながら、独自の世界観で、頭ひとつ抜け出した存在でありたい。そう考えるボルカート氏の率いるランボルギーニ・デザインは、これからもずっとクルマ好きを喜ばせてくれるであろう。それを期待する。
小川 フミオ :モータージャーナリスト
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