SNH48・宮澤佐江さん「まずは『ALS』という病気を知ってほしい」
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まずは「ALS」という病気を知ってほしい――。女性アイドルグループSNH48兼SKE48の宮澤佐江さんはこう呼びかける。ALSとは「筋萎縮性側索硬化症」のことで、身体中の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々に衰えていく難病。宮澤さんは、NHKの番組を通じてALS患者であるヒロこと藤田正裕さん(35)と対談して以来、ALSに強く関心を持つようになった。6月21日の「世界ALSデー」に合わせて、宮澤さんにALSへの思いを聞いた。
“だれがかかってもおかしくない”
もともと宮澤さんがALSを知ったきっかけは、三浦春馬さん主演の「僕がいた時間」というドラマだった。そこでだいたいどんな病気かは知ったが、実際のALS患者であるヒロさんと出会った。 ヒロさんは、外資系広告代理店マッキャンエリクソンの広告プランナーで2011年11月にALSと診断。いまは自力での呼吸ができなくなり、人工呼吸器をつけて生活している。 「私が出会ったときは、いまのヒロさんだった。(病気の前は)どういうヒロさんだったか知らなかった」。しかし、ヒロさんがプレゼンしている昔の映像や写真を見ると、元気なヒロさんだった。宮澤さんは、たった数年でここまで病状が進行するんだという「怖さ」を感じた。 「だれが(ALSに)なってもおかしくない病気なんだと気づいた瞬間、1分1秒、生きていることに感謝しなきゃいけないなと感じるようになった」。食事をしたり、会話をしたり、音楽を聞いたり、歩いたり、こうした「普通」がなくなることはどんなに怖いことだろうと考える。 ALSは国指定の難病ではあるが、けっして他人事ではない。こんなことがあった。ヒロさんのプロジェクトの中に、実はALSにかかっている人が活動していたが、宮澤さんはまったく気がつかなかったという。最後に挨拶したとき、「実は僕もALSになったばっかりで」と言われ、驚いた。「(彼は)今もしゃべれているし、いつ自分がなってもおかしくないんだなと感じた」。 ヒロさんは現在、声を失い、手足も動かなくなった。言葉やジェスチャーでの感情表現はできないが、目の動きだけでパソコンを操作し、コミュニケーションをとっている。「心はあるから、でもその心を伝えられない分、目で表現することができる。耳と目で感じることは、ALSになっている人も、普通に生活している人と同じようにできる」。宮澤さんは、ヒロさんとアイコンタクトできるのがとてもありがたいなと思う。 ALSは原因不明で、いまだ治療法が見つかっていない。「私に何かできるかといっても、治すこともできないし、何もできない」。でもまずは病気のことをいろいろな人に知ってもらうことが大事だと考える。「まずはALSという病気のことを知ってほしい。関係ないと思っている人が多いかもしれないけど、全然そうではないんだよと、少しでも発信していければ」。