物価高「1日1食で体重7kg減」、猛暑でクーラー使えず…あしなが遺児学生の厳しい現実
■昼食すらとれず
居酒屋などのアルバイトで多い月で7、8万円程度は稼ぐものの、ヨット部での活動もあり、金銭的な余裕はない。昼食も1週間のうち、半分はとらない。「コンビニのおにぎり1個が200円近く。もったいなくて」。節約のため猛暑の今夏もクーラーを使ったのは数えるほどだった。
それでも、学びたい学問を学べる環境に充実感を感じる。将来は機械系のエンジニアとして海外の拠点で働くのが夢だ。途上国の若者支援に携わりたいという。
「大学で未来が広がった気がする。困窮家庭の子は幼くして家庭環境を理解しているから相当大人びている。『社会ってこんなもの』と抑え込みがちだが、可能性を狭めないためにも、夢をあきらめないでほしい」。多く人とこの思いを共有できれば、と考えている。(矢田幸己)
◇
7月に実施したあしなが育英会の調査では、同会の奨学金を受ける保護者3107人から回答があった。回答者の属性として、世帯年収210万円未満が61・5%を占めた。
収入と物価のバランスを問うと、物価上昇をカバーできるだけの収入増があったと答えたのは2・5%にとどまり、「わからない」を除けば、94・2%がカバーできないていない状況だ。また、「昨年以上に物価高の影響を受けていると感じるか」との設問には、99・6%が「感じる」と回答した。
調査の自由記述欄には「食事は1日1食か2食になり、子供は体重が7キロ痩せた」(40代母親、東京)、「ドクターストップがあっても無理やり働いている」(50代母親、富山)など切実な声が寄せられたほか、がんを患っているのに治療費を工面できず、ステージⅣ(もっとも進行した状態)になったと明かす40代母親(三重)もいた。