任天堂の「次世代機」が持つSwitchとの重要な“接点”、ニンテンドーアカウント軸に1億4600万台の顧客基盤維持へ
インターネットの常時接続が当たり前になってから、家庭用ゲーム機でもアカウントが必要になった。任天堂の家庭用ゲーム機ではWiiから常時接続になり、ゲームソフトのDL版などが当たり前になっている。 しかし、互換性は貧弱だった。Wiiで買ったソフトをWii Uに引き継ぐこと自体は可能だったが、ローカルな引っ越し作業が必要である。いまではアカウントに情報が集約されるのは当たり前だが、そういう機能はなかったのである。
アカウントに情報が蓄積されるようになったのは、Wii Uおよびニンテンドー3DSの世代からだ。ただし、Wii UからNintendo Switchに代が変わってゲームソフトの互換性がなくなった。Wii Uでいろいろなゲームを買っても次に持っていけなかったのである。 「Nintendo Music」の記事で書いたように、任天堂はアカウントの重要性を増すような方向に舵を切っている。下位互換でNintendo Switchの豊富なライブラリが遊べるのも話題になった理由のひとつだが、それ以上に任天堂もアカウントをうまく運用していくとわかったゆえの盛り上がりだろう。
なお、ほかの家庭用ゲーム機も下位互換をなるべく大事にしている。PlayStation 5は下位互換ありで、PlayStation 4のほとんどのタイトルを遊べる。 Xboxは下位互換にかなり力を入れており、1世代前のXbox Oneのみならず、Xbox 360、初代Xboxのゲームを遊べるケースもある。 インターネットが発達した結果として、家庭用ゲーム機においてもユーザーそれぞれのアカウントは財産のひとつとなっている。可能であればライブラリを引き継げるほうが嬉しいのは間違いない。
■任天堂の場合、下位互換が足かせになりうる とはいえ、気になることもある。任天堂においては、下位互換がある直近のハードはそこまでうまくいっていないのだ。 約1億5000万台売れたニンテンドーDSのあとに、互換性を持つニンテンドー3DSが発売された。これはヒットした部類だが、全世界で約7500万台と控えめな数字に落ち着いている。 世界で1億台売れたWiiの互換性を持つWii Uは、たった1356万台。残念ながら売れなかったと言ってしまっていいだろう。