「糖尿病患者」はフレイルに要注意! その理由と対策を理学療法士が解説
糖尿病は虚弱状態である「フレイル」と関係しており、糖尿病を発症するとフレイルになるリスクが上昇するようです。生活習慣病とフレイルの予防では重なる部分が多く「食事」と「運動」がキーワードと専門家は言います。予防のための食事・運動のコツについて鹿児島大学教授で理学療法士の牧迫飛雄馬先生に詳しく解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
糖尿病とフレイルの関係
編集部: 糖尿病とフレイルの関係について教えてください。 牧迫さん: 糖尿病とフレイルは相互に関係します。つまり、糖尿病を有する高齢者ではフレイルになりやすく、フレイルの高齢者では糖尿病の発症リスクが高まります。血糖値とフレイルの発症リスクはU字型の関連性があるとされています。高血糖だけでなく、低血糖の状態も身体機能の低下や転倒の危険を高めることとなり、フレイルのリスクを増大させることにつながります。 編集部: 糖尿病患者はサルコペニアにも関係しているのでしょうか? 牧迫さん: そうですね。糖尿病の患者さんはサルコペニアになりやすいと言われています。糖尿病の患者さんがサルコペニアに陥る要因のひとつには、糖の代謝を調節して血糖値を一定に保つ働きを持つインスリンが関係します。糖尿病の患者さんは、血糖を下げるインスリンの作用が不足し、筋肉量・筋力が低下しやすいことが知られています。筋肉量が減少して筋力が低下すると、さらに活動量が減少してしまい、インスリン抵抗性が進みやすくなり、糖尿病が悪化する危険も高くなるという悪循環に陥ります。 編集部: その他、生活習慣病もフレイルと関係するのでしょうか? 牧迫さん: 多くの生活習慣病がフレイルと関係します。例えば、高血圧はフレイルや脳梗塞のリスクとなる脳内の白質病変と関連する可能性が示唆されており、高血圧による臓器障害の進展にフレイルが影響する可能性があります。その他、慢性腎臓病を有する高齢者では多くがフレイルに陥っていることが懸念されます。腎臓病が進行している場合、タンパク質の量を抑えた食事が必要となり、筋肉が減りやすい状態であることなどが原因のひとつに考えられます。