「糖尿病患者」はフレイルに要注意! その理由と対策を理学療法士が解説
糖尿病予防はフレイル予防を兼ねるのか?
編集部: 糖尿病を予防することでフレイルも予防できるのですか? 牧迫さん: 糖尿病を予防することでフレイルを予防することができるかの根拠のある成果は十分に示されていません。しかし、糖尿病の患者さんではフレイルのリスクが高くなりますので、糖尿病を予防することでフレイルになる危険を下げることが期待されます。また、活動量の低下や不適切な食生活など糖尿病とフレイルでは共通した危険因子も多くありますので、これらの危険因子に対処することは糖尿病を予防すると同時にフレイルの予防にもつながります。 編集部: 糖尿病予防はフレイル予防に具体的にどのような影響を与えますか? 牧迫さん: 糖尿病とフレイルでは共通した危険因子が多くあります。運動不足や食事の偏り、睡眠不足などが挙げられます。特に、身体活動を促進して、筋肉量や筋力を維持することは、糖尿病とフレイルの両方の予防にとって重要です。習慣的な運動や栄養バランスの良い食事、ストレスをためないといった糖尿病を予防するための生活習慣はフレイルを予防することにもつながります。 編集部: 糖尿病予防の具体的な方法について簡単に教えてください。 牧迫さん: 糖尿病の予防のためには、「食事」と「運動」が重要となります。食事では、適切なエネルギー量と栄養バランスの良い食事を心がけることが第一です。また、野菜を先に、ゆっくりよく噛んで、腹八分目に抑えることも良いとされます。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動がお勧めですが、運動する時間をとることが難しい場合は、できるだけ階段を利用したり、近所の散歩からはじめたり、普段の生活で活動時間を増やす工夫もよいでしょう。また、ぬるめのお風呂にゆっくりつかったり、しっかりと睡眠をとったりして、ストレスを溜めないようにすることも重要です。
予防行動の注意点とは?
編集部: すでに糖尿病の人はどのようにフレイルを予防すると良いでしょうか? 牧迫さん: 糖尿病を有する人では、適切な服薬や生活習慣に気を配り、まずはしっかりと血糖の管理をすることが重要です。血糖値の急激な変化や高い血糖状態は、筋肉量の減少や筋力の低下をまねき、フレイルのリスクを高めることになります。そのため、適度な運動と栄養バランスの良い食事がフレイル予防のための基本となります。 編集部: 日常生活で意識すべき点にはどのようなことがありますか? 牧迫さん: 日常生活で意識すべき点として、習慣化するために心がけをするとともに、ストレスになり過ぎない程度の心もちで取り組むことが挙げられます。予防のための対策は継続することが重要ですが、なかなか続けることは難しいと思います。楽しみに取り入れたり、ときには自分へのご褒美を設定したり、心にゆとりも持ちながら取り組むことがお勧めです。 編集部: 運動や日常生活の改善の際に注意すべき点はありますか? 牧迫さん: 予防の効果はなかなか目に見えて現れにくいものです。また、短期間で効果を感じることは少ないかもしれません。予防のための対策は「継続すること」が大切となります。運動習慣や食生活を継続するための工夫を取り入れてみましょう。例えば、歩数計を使って日々の目標を決めて歩いたり、食事カレンダーで摂取した食品群にチェックしたりして、健康的な行動を強化することもお勧めです。また、体重や血圧を定期的に計測して記録することも日常生活を整えるうえで重要な役割を担います。