企業の想定為替レートは平均140円88銭
「直接輸入」だけを行う企業は「直接輸出」だけの企業より3.91円の円安水準を想定
輸出・輸入別に想定為替レートをみると、事業として直接または間接的に「輸出」を行っている企業では143.11円となった。 他方、「輸入」を行っている企業では144.56円だった。輸入企業は輸出企業より1.45円程度円安の水準を想定している。特に、「直接輸入のみ」(145.89円)を行っている企業は、「直接輸出のみ」(141.98円)を行っている企業よりも3.91円円安の水準を想定していた。 規模別では、「大企業」は144.16円、「中小企業」は141.54円、中小企業のうち「小規模企業」は138.14円だった。規模が大きくなるほど、円安を想定する傾向がある。また、「直接輸入のみ」を行っている企業では、「大企業」(146.22円)は「小規模企業」(142.98円)よりも3.24円円安の水準を想定している。
実勢レートとの乖離が企業業績の回復に水を差す可能性も
本調査によると、2024年度の想定為替レートは平均140円88銭だった。また、直接輸出のみを行う企業と直接輸入のみを行う企業では、収益への影響が逆方向に働くこともあるため、直接輸入企業は3.91円の円安水準を想定している。 2017年以降、実際の外国為替レートと想定レートに大きな差異はなかったが、2021年後半以降の実勢レートは想定レートよりも大幅に円安の水準が続いている。2024年には、名目為替レートは年初から半年で約10円も円安が進み、最近では150円台後半で推移している。企業が適正と考える為替レートは1ドル=110円台から120円台とされる<帝国データバンク「円安に関する企業の影響アンケート(2024年5月)」2024年5月17日発表>。そのため、引き続き実勢レートとの乖離による輸入物価を通じた企業収益の悪化を招くリスクに注視する必要があろう。 調査概要 調査対象企業:2万7104社 有効回答企業:1万1410社(回答率42.1%) 分析対象企業:想定為替レートを設定している企業2466社 調査期間:2024年5月20日~5月31日 調査方法:インターネット調査