【大学野球】明大・宗山塁が通算10号をマーク あくまでもサク越えは「ヒットの延長」
「より良いスイングを求めている」
【9月29日】東京六大学リーグ戦 明大8-0慶大(明大1勝1分) 前日の1回戦にリーグ史上34人目の戦通算100安打、そして、2回戦では通算10号を放った。明大・宗山塁(4年・広陵高)が3点リードで迎えた5回裏二死二、三塁から貴重な中押しとなる3ラン。宗山は7回裏にも犠飛でこの日4打点を挙げ、8対0で先勝した。 【選手データ】宗山塁 プロフィール・寸評 3安打を記録した1回戦は詰まりながらも右前打、抜群のバットコントロールで左二塁打、止めたバットが左前に落ちた。この日はフルカウントから右翼スタンドへ豪快に運んだ。 「バットの芯でとらえたというよりは、詰まりましたが、良い角度、良い方向に飛びました。スイングの再現性、修正していきながら、より良いスイングを求めている。それが、飛距離につながっている」 2打席凡退で迎えた第3打席で、なぜ、結果が出たのか。理由は、修正能力にある。 「スイングが体から離れていると、スイングの幅が大きくなる。トップからボールをとらえるまでの時間が長くなる。スイングを体の近くにし、アジャストの調整をしました」 打席でのキーワードは「小さく、強く振る」。春先は打球を上げようとしていたが、チーム方針として、ヘッドを残すダウンスイングを徹底した。「バックスピンをかけないといけない」。夏の高森キャンプからトレーニングと並行して、スイングの形を固め、理想のフォームを体に染み込ませた。スタミナが維持できれば、より再現性を高めることができる。夏のオープン戦では左投手から2本塁打を放ち、最高の状態でシーズンインしたのだった。
この日もネット裏で視察したNPBスカウトからは、絶賛の声が相次いだ。 「(3ランは)出合い頭ではない。打席での間があり、打席内で自分のペースに持ち込むことができる。秋の開幕前のオープン戦最終戦を視察したんですが、センターにおっつけるヒットを打ったんです。あの一本を見て『リーグ戦は、大丈夫だ!!』と確信しました。今日の本塁打もインコースに来ても、押し込んで打てるから、スタンドに運ぶことができる」(広島・苑田聡彦スカウト顧問) 「打撃は柔らかいですし、ミート率も高い。遊撃守備における足の運び、打球の反応、評価は一番(ドラフト1位)に値する選手。一番でいかないといけない選手に、相当します」(中日・音重鎮チーフスカウト) 節目の2ケタ本塁打。宗山はあくまでもサク越えは「ヒットの延長」と語る、最も好調だった2年時に春3本塁打、秋4本塁打を放っているように、好調のバロメーターである。 「積み重ねてきた中での10本塁打。良い場面で一本出せればいい」 14打数5安打、2本塁打、7打点、打率.357。ラストシーズンに打率5割での三冠王を目指す宗山は、いよいよトップスピードに入ってきた。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール