41光年先の惑星に、灼熱のマグマ状態になった大気がある可能性
岩石質の惑星の画像化は難しい
NASAのジェット推進研究所の研究員であり、この論文の筆頭著者であるRenyu Hu氏は米Gizmodoのメール取材に対し、以下のように述べています。 「系外惑星の大気はこれまで数多くの観測が行なわれてきましたが、そのどれもが大規模な水素主体の大気でした。 今回の研究で、私たちはついに岩石によって構成された系外惑星を覆う大気の観測ができたのです」 これまで述べてきたことでもわかるようにかに座55番星eは、生命には厳しい場所ではあります。ですが、JWSTがはるか遠い世界を直接画像化せずにどのように特徴づけられるかを示すには、有益な研究事例といえるでしょう。巨大なガスとは対照的に、恒星のように明るくなく、質量もはるかに小さい岩石質の系外惑星は直接画像化するのが非常に困難といえます。 その代わりに、科学者たちは系外惑星が周回する星を利用して、系外惑星の構成を見定めるのです。今回の研究チームは、かに座55番星eが恒星を周回する際にそこから発せられる光の量を注意深く観測することによって、その惑星に存在する可能性のある大気を特定しました。 次世代型宇宙望遠鏡のハビタブル・ワールド・オブザーヴァトリーの運用が開始されれば、遠く離れた系外惑星の様相を見定めるのがはるかに容易になり、地球外の生命を発見するという研究も進む可能性があります。
系外惑星と生命の研究
天文学者たちは、これまで5,000以上の系外惑星を発見してきました。研究者たちが宇宙生物学の観点からこれらを詳しく区別していくにはさらに多くの調査が必要となります。そのなかには、生命には適さない環境に注目することも含まれていて、惑星がどのように進化するのかや惑星にはどんな多様性が存在するのかを明らかにできるわけです。 2023年の3月に、40光年離れた岩石質の系外惑星「TRAPPIST-1b」には大気が存在しないことを発見しました。この発見は、TRAPPIST-1bがおそらく恒星に近く、発達する可能性のある惑星にエネルギーを与えるようなものだと考えられることを示しています。 さらにTRAPPIST-1の惑星系のうちのいくつかは、いわゆるハビタブル・ゾーン内に位置していることもわかっています。こうしたことからもこの惑星系は宇宙生物学者にとって魅力的なものであるといえるわけです。 さて、一方で大気は生命を維持するために非常に重要な指標と考えられるため、TRAPPIST-1の惑星系に対しての関心が薄れている中、今回のかに座55番星eが宇宙生物学研究において魅力的な研究対象の候補として浮上しているといえるでしょう。
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