投手→野手で戦力外も経験 リハビリ中の28歳が背負う“覚悟”…「いつ切られてもいい」
オリックス・佐野皓大「どこかのピースに入ってチームの力になりたいです」
多くの苦難を乗り越えてきた経験が、前を向かせてくれる。6月中旬の足の怪我でシーズンをほぼ戦えないまま終わったオリックス・佐野皓大外野手が、下半身を強化してプロ11年目に臨む。 【写真】「幸せそうでうれしいなぁ」元モデルの美人妻と…オリ内野手の家族ショット 「何もしていない1年でした。1か月くらいしか野球をしていませんから。怪我をしちゃったら何もできません。怪我をしないようにすることが1番。下半身を強化したいと思っています」。飾らない性格そのままに、来季への取り組みを淡々と切り出した。 怪我に泣かされたシーズンだった。走攻守のレベルアップを目指して、今年のキャンプインまでに約7キロの増量に成功。しかし、2軍で迎えた開幕直後の試合で、手の甲を痛めて約1か月間、戦線離脱を余儀なくされてしまった。 復帰後の6月7日に1軍昇格を果たしたが、6月15日のヤクルト戦(京セラドーム)で二盗の際、右足首を痛めた。右足関節内果骨折と右足前距腓靱帯損傷の診断を受けて6月21日に手術し、シーズン終了までグラウンドに戻ることはできなかった。 それでも、初めての長期リハビリ生活に焦りはなかったという。「長かったですね。でも、怪我をしたことは仕方がありませんし、ネガティブな気持ちでやったリハビリではありませんでした」。紆余曲折の野球人生が、佐野を支えている。大分高から投手として2014年ドラフト3位でオリックスに入団。俊足好打を評価され、外野手に転向した2017年オフに戦力外通告を受けて育成契約となり、翌年には野手として支配下登録選手に復帰。足を生かすためスイッチヒッターに挑戦したこともある。 「(在籍)年数もありますし、僕はずっと……いつ切られてもいい覚悟でやってきました。ピッチャーで入ってきた僕は、そこは気にしているんです。でも、ネガティブになっても、何もいいことはないじゃないですか。自分としては、来季に向けてやろうという気持ちでやってきました」 様々な経験が前向きな気持ちを培ってきたことを明かす。「春季キャンプには万全の状態で臨めると思います。どこかのピースに入ってチームの力になりたいです。怪我なく1年間、1軍にいられるように頑張ります」。静かに闘志を燃やしている。
北野正樹 / Masaki Kitano