「俺に何があってもやめるなよ」手術室に運ばれる夫から励まされて。芸人おばあちゃん「舞台に立てないときが必ず来る。だからこそ今を精一杯楽しみたい」
71歳で吉本の芸人養成所であるNSC(吉本総合芸能学院)に入学。お笑い芸人となった「おばあちゃん」。77歳となった現在、芸歴5年の「新人」として月に3回、東京・神保町にあるよしもと漫才劇場の舞台に立っています。過去には乳がんや卵巣がんを患った経験もあり、NSC在学中には夫の看病や実兄の介護に追われたことも…。それでも夢を諦めず、いまや“国民的おばあちゃん”として人気に。いったい何がそのパワーの源になっているのでしょうか。これまで歩んできた道のりを振り返りつつ、いくつになっても人生を楽しみながら過ごす秘訣を伺いました。(全3回/第3回。構成◎内山靖子 撮影◎本社 奥西義和) 【写真】おばあちゃんの素敵な笑顔! * * * * * * * ◆「協力はできないけど、邪魔はしないよ」って 芸人生活を夫が手伝ってくれるのも、私が定年退職したときに「これからはお互いに好きなことをして、楽しく暮らそう」という話を2人でしたから。 とはいえ、夫は若いときからやりたいことをやってましたけどねえ(笑)。 釣りが大好きなので、金曜日の夜、会社が終わるとその足で海に行き、そのまま海から月曜日の朝に出社、なんていうこともしょっちゅう。定年後は、釣りが好きな夫のために、海が近い街に引っ越したくらいです。 でも、これまで自分が好きなことをやってきたからでしょうか。私が好きなことをするのも反対しない。 NSCに通いたいと言ったときも「協力はできないけど、邪魔はしないよ」って。まあ、そのときは、まさか私がプロの芸人なるなんて思ってもいなかったでしょうけど。 そんな夫ですから、自分が肺がんになったときも、私がNSCに通い続けることを応援してくれました。 夫が肺がんを宣告されたのが2020年の12月。かなり厳しい状態なので、年明けの1月には手術をしなきゃならないと。 一方、私は3月にNSCの卒業を控えていたので、さすがにそのときは「どうしよう?」と悩みました。 でも、手術室に運ばれていくときに、「俺に何があっても、吉本をやめるなよ」「人生を楽しめよ」と言ってくれて。 その言葉に励まされてNSCに通い続けることができたのです。
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