トランプ氏復権の立役者マスク氏、巨額献金で手にした政界への影響力
(ブルームバーグ): トランプ前米大統領の返り咲きにこれほど尽力したビリオネアはイーロン・マスク氏以外にいない。その努力が報われるのか、やけどを負う羽目になるかは、今後明らかになるだろう。
マスク氏は今回、ホワイトハウスに強力な味方を得るだけではない。トランプ氏は、マスク氏に政府支出削減を指揮する正式な役割を与えることを検討している。実際にそうなれば、政策や連邦政府機関に影響を及ぼし得る権限をマスク氏は手にすることになる。それにはマスク氏のビジネス帝国を監督する立場にある政府機関も含まれる。
「彼は個性的な人物だ。特別な男で並外れた天才だ」。トランプ氏は昨晩、祝賀パーティーの会場にいた支持者向かってマスク氏をこう持ち上げた。その上で「我々は天才を守らなければならない。彼らのような人材はそう多くは存在しない」と語った。
投開票日から一夜明けた6日の米国株式市場で、テスラ株には取引開始直後から買いが殺到した。マスク氏は6日未明、自身のソーシャルメディア、X(旧ツイッター)の記録的な利用状況を示すグラフを投稿した。
さらに大統領執務室にシンクを持ち込んだ自身のフェイク画像もXに投稿。買収したツイッターの本社に自身がシンクを持ち込んだエピソードに重ねているのは明らかだ。
マスク氏はここ数カ月、激戦州ペンシルベニア州での対話集会やマディソン・スクエア・ガーデンの選挙集会に出席するなど、トランプ氏にとって最も強力な支援者だった。
さらにトランプ氏に加え、下院選の激戦区における共和党候補の当選を後押しするため1億3000万ドル(約200億円)余りを提供。今回の選挙サイクルにおける献金額で上位に躍り出た。
マスク氏は選挙当日、テキサス州で投票。その後、自家用ジェット機でフロリダ州に飛び、トランプ氏とその家族らとともに「マールアラーゴ」で開票結果を見守った。マスク氏の政治活動委員会(PAC)「アメリカPAC」は、祝賀会でトランプ氏と総合格闘技団体アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)のデイナ・ホワイト最高経営責任者(CEO)と肩を並べて座るマスク氏の写真を投稿した。