トランプ氏復権の立役者マスク氏、巨額献金で手にした政界への影響力
マスク氏の個人資産はバイデン政権下で大きく変動した。ブルームバーグ・ビリオネア・インデックスによると、最高で3400億ドルまで増える一方、最低で1240億ドルまで目減りした。それでも、おおむね拡大傾向にある。選挙日時点での純資産は2638億ドル。
トランプ氏は9月下旬、政府支出の削減を指導するポストにマスク氏を起用する考えを表明。役職を「コスト削減長官」と呼んでいるが、マスク氏は「政府効率化省(DOGE)」だと冗談を飛ばしている。自身が推進する暗号資産(仮想通貨)ドージコインにちなんだものだ。
マスク氏は連邦予算の2兆ドル削減を支援すると確約している。標的となる省庁について具体的には言及していないが、自身の経営会社を監督する立場にある規制当局に対して、折に触れ激しい非難を浴びせている。
今週のジョー・ローガン氏のポッドキャスト番組でも、スペースXのロケットが規制当局の承認待ちで2カ月間にわたり発射台で足止めを余儀なくされたエピソードについて語っている。
「規制当局が書類を承認するよりも短い時間でロケットを完成させることができる」とマスク氏。「まるでガリバーが数百万の小さな糸で縛り付けられているようなものだ。どれか1本が問題なのではなく、数百万もあることが問題だ」と語っている。
マスク氏に広範な権限が与えられれば、連邦政府機関の見直しで影響力を及ぼすことになる。対象となるのはマスク氏経営企業の多くを規制監督下に置き、かつ調査する権限を持つ政府機関だ。同氏はすでに、完全な自動運転車の承認手続きを加速させるために、手にする全ての権限を行使する考えを示している。
想定される政府支出削減のポストは閣僚レベルの役職ではない見通しだ。これは、マスク氏がCEOの職務から退く必要がないことを意味する。
マスク氏の支援はすでに、トランプ氏に影響を与えている。従来のEVへの強硬な反対姿勢には変化が見られ、8月の選挙集会では「私はEVに賛成だ。そうせざるを得ない。イーロンが私への強い支持を表明してくれたからだ。だから、選択の余地はない」とトランプ氏は述べている。