「コスパのいいこと」だけやり続けた人の末路【ヤマザキマリが教える】
● コスパ・タイパ優先の時代に どう向き合うか? コストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)を優先する時代性についてはどう向き合っているのか。 「今の若い人たちはコスパのいいことしかやりたがらないですよね。でも、燃費の悪さを避けて過ごしていると、人間が本来持っている力を発揮できないまま、不完全な状態で人生が終わってしまう」 無難な生き方に満足し過ぎない方がいいというのだ。 「うまく水たまりを避けて歩む人生では、大雨が降ったときに生き抜く能力を発揮できなくなるでしょう」。苦悩や困難と向き合う力を身に付けることで、損はない。 「まずは自我に縛られず、自分という生態や自分が属する社会を、動物を観察するような気持ちで俯瞰して見ることが大事です」 一人旅をしてみたり、自分には絶対に向いていないと思うようなことをあえてやってみたり。 「私たちは地球があっての生物です。動物や昆虫を見ていると、生き方にあれこれ理想を抱く人間との違いに気付かされます。みな地球という惑星の生み出す波長と連動しながら、宇宙の法則の中で授かった命を潔く生きています。私たちもそんなふうであるべきなんです」 ヤマザキさんの視野は地球規模であり、生物の発展の歴史をも意識している。 「ホモサピエンスとしての自分たちの性質をもっと深く知るべき。進化の結果生まれた社会のメカニズムを認識するのも大事です」 人間は、自分のことを考え過ぎている。自分を大切にするあまり、視野が狭まり、簡単に理解できること以外に興味を持たなくなっているのかもしれない。 「自己主張や承認欲求は、自分の存在を肯定してもらいたい気持ちの表れだと思うのですが、宇宙のスケールや地球という惑星上で起こっている事象を踏まえると、自分が、自分が、などと固執している場合じゃありません」 そうすることで、見えるものががらりと変わる。