和田秀樹 仕事から退けば同僚も部下も消え、妻が亡くなれば…「ひとりが当たり前」と誰もが気づいた現代における<幸福>とは?
内閣府が公開している「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上のひとり暮らしの人口に占める割合は、令和2年には男性15%、女性約22%と年々増加傾向にあるのだとか。そのようななか、6000人の死に立ちあってきた高齢者専門の精神科医・和田秀樹先生が語る「ほんとうに幸せな暮らしかた」とは。和田先生いわく、「老いていくということは、ひとりになっていくということ」だそうで――。 【写真】「奥さんへの依存で夫婦関係は悪化する。本当に助け合わないといけなくなるまでは別行動すべし」と語る和田先生 * * * * * * * ◆誰かに支配される人生で終わっていいのか 老いていくということは、どんどんひとりになっていくということです。 たとえば家庭を持っても、子どもたちは家を出て行き、夫婦だけの暮らしになります。そして、その先、配偶者が亡くなれば、自分ひとりになります。 仕事の一線から退けば、同僚も部下もいなくなります。新しい仲間や友人に恵まれたとしても、同世代は高齢になるにつれてひとりずつ欠けていくことでしょう。身構えたところで、有無をいわせずひとりはやってくるのです。 現在、男女ともに生涯未婚率が上昇しています。その理由の一つは「ひとりは当たり前」とみんな気づき出したことにあると思います。 自分の世界に満足し、そこで自立して暮らしている人たちも、ひとりは当たり前ということを知っている人たちです。 幸福は主観的なものです。あなたが幸福だと思えばそれが幸福だということです。誰かにしばられ、支配される人生では、充足は困難です。 ひとりでもできること、ひとりだからこそ楽しめることをいくつも知っている人は、やりたいことがいつもあって、退屈しないで暮らしています。
◆ひとりでも幸福に暮らしていく 私は、この記事で、いつか訪れる孤独から目を逸らさず、受け入れようとしているあなたを応援したいのです。 そういう人なら、ひとりでも幸福に暮らしていくことができると信じられるからです。たとえひとりになったとしても、寂しさを感じることなく朗らかに暮らしていくことができます。 これまでは、家庭を持って子どもを育てて家族で暮らすというのが、平凡だけど幸せな人生だと信じられてきました。でもそれは、ガマンや社会的圧力から生じた考えかたです。 賢明な私たちは、このまま死んでしまっては悔いが残ると気づいてしまいました。 ひとりで暮らしてひとりの時間を楽しみ、ひとりで死んでいく。 そんな人生にも幸福はあるのです。 多くの人はそう考え始めています。
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