クレイチコワがウインブルドン初制覇!「誰も私が優勝するなんて思っていなかったと思います」<SMASH>
今季3つ目のテニス四大大会「ウインブルドン」は現地7月13日に女子シングルス決勝を実施。第31シードのバルボラ・クレイチコワ(チェコ/世界ランク32位)が、第7シードのジャスミン・パオリーニ(イタリア/同7位)を6-2、2-6、6-4のフルセットで下し、同大会初優勝並びに四大大会2勝目を飾った。 【画像】優勝のクレイチコワほか、ウインブルドン2024で存在感を放った女子トップ選手たち 2021年の全仏オープンで四大大会初優勝を飾った28歳のクレイチコワ。今季序盤はケガや体調不良に悩まされ出場大会でも結果が出ていなかったが、芝シーズンに入ってからは6月の「ロスシー・クラシック」(イギリス・バーミンガム/WTA250)で8強入りを果たすなど徐々に調子を上げていた。 今大会は初戦から順調に勝ち上がり、準々決勝では17年全仏覇者のエレナ・オスタペンコ(ラトビア/同14位)にストレートで勝利。そして準決勝では22年ウインブルドン女王のエレーナ・ルバキナ(カザフスタン/同4位)を3-6、6-3、6-4の逆転で破り、テニスの聖地で初めてとなる決勝へと駒を進めていた。 決勝で顔を合わせたのは、6月の全仏で四大大会初の決勝進出を果たした28歳のパオリーニ。試合は立ち上がりからクレイチコワが安定感のあるストロークを披露し、第1ゲームでいきなりブレークポイントを握る。最後はフォアハンドクロスのウィナーを奪ってパオリーニのサービスを破ると、その後もプレーの質を落とさずに第5ゲームでもブレークに成功。幸先よく第1セットを先取する。 だが第2セットは逆の展開となる。徐々にリズムをつかんでいくパオリーニの伸びのあるショットに苦戦を強いられ、アンフォーストエラーの数も増やしたクレイチコワ。第1ゲームから3ゲームを立て続けに失った上に、終盤の第8ゲームでもサービスダウンを喫して1セットオールに持ち込まれる。 勝負のファイナルセットは互いに一歩も譲らない緊迫の攻防が繰り広げられる。そんな中で迎えた第7ゲーム、クレイチコワが強力なリターンとフォアを軸にした攻撃でブレークポイントを取得すると、最後は相手のダブルフォールトに助けられる形で値千金のブレーク。以降もキープを継続し、第10ゲームではサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップを迎えた。しかしここでは優勝を意識しすぎたことで30-0から3連続ポイントを献上してブレークポイントを握られてしまう。 それでも何とかピンチを脱し、2度目のチャンピオンシップポイントをクレイチコワが取り切って勝負あり。苦しみながらも1時間56分の熱戦をものにした。 試合後の表彰式でクレイチコワは優勝という結果に驚きを隠せない様子を見せながらも次のように喜びを語った。「誰も私が優勝するなんて思っていなかったと思います。私ですらこの結果が信じられないくらいです。絶好調というわけでもなかったですし、困難を乗り越えてここまで来ました。こうしてトロフィーを持っているのが信じられません」 この結果クレイチコワは大会後に更新される世界ランキングで約半年ぶりのトップ10復帰が確定。一方惜しくも2大会連続で四大大会準優勝に終わったパオリーニは、自己最高の5位に浮上することが決まった。 文●中村光佑