ネットにあふれるクルド人ヘイトの異常さ 差別される側の視点に立ってみたことありますか?「一部の問題で全体を判断しないで」
アリさんは20歳のクルド人。2011年に家族とともに日本に来た。学校では日本語が難しくて勉強についていけなかった。同級生ともなじめず、中学校1年生の時に学校をやめた。 6、7年前からは在留資格のない「仮放免」の状態だ。就労は禁止され、県外移動は制限される。しかし、生活していくためには働かざるを得ない。中学校をやめて以来、父親の解体業を手伝っている。日曜日以外は朝8時から夕方5時ごろまで肉体労働だ。車も解体業で稼いで買った。クルド人の多くは運転免許を取得する際、簡単なトルコ語を話せる教官がいる教習所に行くか、英語の試験を受けるという。彼も英語の試験で免許を取得したという。 仮放免では健康保険にも入れないため、医療費は高額になる。虫歯の治療で30万円かかったこともあった。2カ月に1度は品川にある東京出入国在留管理局(入管)に行かなければならない。親戚が入管施設に収容され、トルコに強制送還されたこともあった。
SNS上のクルドカーへの批判についてどう思っているのだろうか。「これは俺が解体をして頑張って稼いだお金で買った。日本人も同じような車を買っている。何が悪い?」 日本社会を生きる中、日々向けられる他者からの視線にも敏感だ。「車をコンビニに止めていると、勝手にスマホで写真を撮られた」「コンビニで商品を購入しただけで、嫌な顔をされた」 日本人に対して伝えたいことも聞いてみた。 「俺たちは同じ人間。俺は悪いやつかもしれない。けれどもクルド人全体が悪いわけではないでしょ」 取材後、アリさんから「今日撮った写真を送って」と連絡が来た。人懐こい印象だったアリさん。悪ぶりながらも悩みを抱える様子は、同世代の日本人の若者たちと変わらないように思えた。 ただ、彼らは日本社会では異物として扱われる。クルド人社会でも、地域で軋轢を生む若者たちへの批判の声はある。同席した支援団体のメンバーがつぶやいた。
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