背伸びした学費、当て込んだ仕事がゼロになり慌ててアルバイト──親子芸人「完熟フレッシュ」の幸せコンビ計画 #令和の親 #令和の子
娘を養うべくサラリーマンとして生計を立てた約5年を、 「営業成績も良くて、結構稼いでました」 と胸を張る池田。 舞台や楽屋で先輩やマネージャーから叱責されオドオド……筆者の知る姿とは一致しないが、 「ビジネスマンとしては凄い。 『完熟フレッシュ』も父の計画通り」 とその手腕には、レイラも太鼓判。 父への信頼は厚いようだ。
策士・池田の権謀術数
かくしてお笑い界から身を引いた池田。 とはいえ、 「出し切らずにやめたから……」 と未練タラタラである。 そこへ飛び込んできたのが、暫く開催されていなかったM-1グランプリ復活の一報だった。 このとき池田40歳。 命に関わる病気でこそなかったが、2カ月の入院を余儀なくされている。 「このまま死んだら後悔する」 といの一番に元相方ヘ連絡するも、色よい返事は貰えず。 ……で、次がもう娘である。 子供のために笑いの道を諦めたのに、その子供と漫才とは辻褄が合わない。 ミイラ取りがミイラならぬ、レイラ取りがレイラ、だ。
娘がダイヤの原石だったと思い出した路傍の石、もとい父の頭に、 (この子となら売れるかも!?) と大逆転プランが浮かんだのではと尋ねてみた。 勿論、冗談だったが、 「それは……ないです」 と池田はモゴモゴ。 ゼロではなさそうである。 いずれにせよ幸運だったのは、 「人前に出る仕事をしたい」 とタイミングよく、レイラが芸能界に興味を持ち始めていたことだ。
早速、 「親子は珍しいから、M-1で注目されたら好きな仕事ができるよ?」 と甘言を囁く。 「しつこいと嫌がるから、1年かけて口説いて……」 と「三顧の礼」のように事を運んだという池田だが、 「腑に落ちないまま。M-1の舞台袖でも、『ホントに出ないからね!』って!」 と首を振るレイラ。 ……ほとんど強制だったようだ。 1回戦を終え、2人が向かったのは原宿。 「M-1出たらご褒美に買ってあげるって言われて……」 とお目当ての玩具を手に娘はご満悦だが、父は復帰ステージの重圧から胃痛で青息吐息だったという。 どちらが保護者か分からない。 思い出作りと割り切って臨んだM-1だったが、 「ちょこっと仕事もいただけたので、本気でやってみよう」 と欲が出た池田。 「コンサルタントの研修受けたりしてたんで」 とサラリーマン時代に習得した知識でレイラを説得し、1年で売れる「経営プラン」を練った。 我が子とコンビを組み、マネジメントまでとは、 「宿題やった?」 「早く寝なさい!」 と2人の娘に毎日天手古舞の筆者には想像もつかない。