背伸びした学費、当て込んだ仕事がゼロになり慌ててアルバイト──親子芸人「完熟フレッシュ」の幸せコンビ計画 #令和の親 #令和の子
事実、M-1への初挑戦が「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)で取材されたのを皮切りに、やたらと舞い込むようになったのが、 「これまで、20回くらいは……」 と池田が指を折る「自宅密着ロケ」。 「常に小さなカメラが家についてて。番組が1つ終わって次が来ると、『前のスタッフはココとココにつけてましたね』とか説明したり……」 と父は映画『トゥルーマン・ショー』さながらの日々を満喫していたようだが、娘レイラは多感なお年頃である。
さぞかしキツかったろうと思いきや、 「小6~中2あたりって皆しんどいと思うんですけど、私は自我の芽生えとか反抗期も遅かったので大丈夫でした」 といたって冷静な自己分析。 その大物ぶりは、2019年10月から「スッキリ」(日テレ)内で放送された、「レイラの高校受験密着シリーズ」でもいかんなく発揮され、 「応援してるよ!」 といった巷の声も追い風となったか、見事高校入試突破を果たした。 「ちょっと学費が高いな……」 とよぎった不安を、 「絶対仕事も増える、なんとかなる!」 と振り払い、娘を入学させた父・池田。 ところが、皮算用を立てた途端やって来たのがコロナ禍である。 「初めての緊急事態宣言で、その年のゴールデンウィークまで入ってたロケとか営業が全部なくなった」 ……何とも間が悪い。 「もう先行きが心配なので、アルバイトもしてます」 と自嘲するも、その表情に悲壮感はなかった。 一度でも日の目を見た人間が、本業で食えぬ姿を衆目に晒すのは体裁が悪かろう。 しかし、そこは幾度となくプライベートをネタに昇華してきた「密着系芸人」。 何より今やレイラは大学生……立派なパパである。
娘のために頑張る父
ここで時間を少し巻き戻そう。 娘にネタ中、 「この人、売れない芸人やってたんですよ!」 とイジられているが、「完熟―」以前の池田の鳴かず飛ばず具合は、むしろ筆者のほうがよく知っていた。 かつて彼が籍を置いたのはサンミュージック。 当方が現在も世話になっているプロダクションだったからだ。 前身コンビ、「ロックンロールコメディーショー」に終止符を打った2013年を、 「ちょうど『解散10周年』なんです!」 と回顧する池田。 慶事のような口ぶりは釈然としないが、 「その少し前から、(元)妻から、一度家を離れて考えたい、レイラも連れて行くと言われていて……」 と雲行きが怪しくなり、筆者は居ずまいを正した。 「俺が引き取る!」 と抗うも、 「収入も安定しない。夜も遅い。そんな人がどうやって?」 と正論のカウンターパンチ。 家族3人の暮らしも、池田の実家からの援助で成り立っていたというから、ぐうの音も出ない。 親権を得るには、明日にでも売れっ子になるか、就職するか。 池田の決断は、後者だった。 いや、現実的な思考なら2択にもなっていない。 「やっぱ、レイラが可愛い過ぎたんで!」 とくど過ぎる「娘大好きキャラ」にも、 (もう分かったから!) と鼻白んでしまうが、 「子役事務所のスカウトに、街でよく名刺を渡されてた!」 と続く幼き日のレイラを自慢。 ……どうやら本心のようである。