東京23区火葬料高騰、民営で9万円 中国資本傘下参入以降、続く値上げ 「侵食」~火葬(上)
全国の火葬場(令和5年度)は1364カ所あり、うち97%は自治体などが運営する。火葬料は無料か1万~2万円程度が一般的で、同じ都内でも立川市などの多摩地区の多くは住民であれば無料だ。
東京博善の火葬料について、23区を中心に約160店舗が加盟する都葬祭業協同組合の浜名雅一理事長は「民間企業が利益を追求するのは仕方ないが公益事業の精神からかけ離れている」と訴える。
身よりのない生活保護受給者といった火葬料をそろえられないケースでは、国と自治体が費用負担する葬祭扶助制度があるが、それ以外は、生活が困窮していても、遺族らは分割してでも支払わなければならない。
組合によると、葬儀を行わず火葬だけにしたり葬儀を簡素化したりするケースもある。そもそも火葬に立ち会う機会は人生で多くはなく、費用に地域差があることすら知らない人は少なくない。その結果、「高い」と感じても言い値で払わざるを得ないのが現状だ。
昨年8月以降、組合は火葬料の適正化を求め行政が管理できる法整備や新たな公営火葬場設置の陳情を監督指導する立場の区などに行ってきた。
一方、新宿など6区は昨年、火葬料金算出方法などについて、東京博善に合同で立ち入り調査を実施。ただ、火葬料設定に関しては国の明確な基準はなく、次の「一手」は打ち出せていない。そして「問題」は、さらに深刻化してきているという。(大渡美咲)
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違法とは言わないまでも法や制度の隙間を縫う形で、日本の財産や文化が「侵食」されるような事態が露見している。その「現場」を取材する。