望まぬ妊娠をした女性が直面する“石のように重い扉”──。金馬獎2冠「石門」
「卵と石」(2012)「フーリッシュ・バード」(2017)で高く評価された中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治による監督コンビが、望まぬ妊娠をした20歳の主人公の物語を通し、女性の行く手を阻むさまざまな壁を提示する──。第79回ヴェネチア国際映画祭ベニス・デイズ部門や第23回東京フィルメックスなど各国映画祭に出品され、第60回台北金馬獎では最優秀作品賞と最優秀編集賞の2冠に輝いた「石門」が、2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネリーブル池袋ほか全国で順次公開。ポスタービジュアルが到着した。 2019年の中国湖南省・長沙市。20歳のリンは単発の仕事で収入を得ながら、フライトアテンダントになるために勉強している。郊外で診療所を営む両親は、死産に対する賠償金を請求されていた。そんなある日、自分が妊娠一ヵ月であることを知ったリン。子どもを持つことも中絶も望まない彼女は、両親を助けるため、賠償金の代わりに子どもを提供しようと思いつくのだが……。 《石門》という存在についてホアン・ジー監督は「女性を取り巻く環境に存在する、打ち破りたくてもなかなか突破して先に進めない壁」 だと説明。全編で行われる固定撮影について大塚竜治監督は「人物だけを切り取るのではなく、社会の中に彼女が立っているという構図でこの物語を伝えたかった」と明かしている。主人公リンを演じたのは、「卵と石」「フーリッシュ・バード」にも出演したヤオ・ホングイ。妊娠期間と同じ10ヵ月をかけた撮影で、そのリアルな変化が捉えられていく。
〈監督コメント〉
この映画の共同監督である大塚竜治は、私のパートナーであり、夫でもあります。ある日、彼が言いました。「10ヶ月間撮影しよう。」それは、妊娠から子供が生まれるまでの時間であり、この映画が生まれる時間でもあります。この映画が石の扉を開けて、日本の皆さんに届くことを嬉しく思います。 ──ホアン・ジー 10カ月の撮影を終える直前にコロナが発生し、撮影は中断を余儀なくされました。その時、私たちは主人公のリンと同じように現実の中で迷い込み、出口を見失ってしまいました。しかし、最終的にその経験がリンの抱える痛みに寄り添い、彼女と共に重い扉を開くきっかけとなり、映画に新たな光を灯すことができました。ぜひ、映画をご覧ください。 ──大塚竜治
「石門」
監督:ホアン・ジー、大塚竜治 出演:ヤオ・ホングイ、リウ・ロン、シャオ・ズーロン、ホアン・シャオション、リウ・ガン 2022/日本/中国語/2時間28分/DCP 原題:石門 英題: Stonewalling 配給:ラビットハウス ©YGP-FILM 公式サイト:https://stonewalling.jp/