加部究のフットボール見聞録「選手権決勝で感じた、育成の難しい“さじ加減”」
浦和南との伝説の名勝負が選手権人気定着のきっかけに
鹿島加入内定の松村らを中心に、テクニックで勝負した静岡学園が選手権を制覇。この育成の成果が、未来にどうつながるか。(C)SOCCER DIGEST
日本男子柔道チームの体力強化部門長を務め、ボディビルダーとして「バズーカ」の異名をとる岡田隆氏に話を聞く機会があった。筋トレ導入のタイミングを問うと「早く始めると背が伸びない」というデータはないそうだが、「とても繊細な判断が必要だ」と強調していた。 どんな競技でも最優先するのはスキルの習得である。「筋トレは筋肉に負荷が集中するので、成長も速いがダメージも大きい。でも身体に痛みを覚えた状態で適切にスキルを磨けるのか」という問題が浮上する。例えば阿部一二三は、ほとんど筋トレをしないで世界選手権連覇を達成。「(筋トレを)しないで勝ち続けられるなら、それに越したことはない」という。反面フィジカルを上乗せしないと次のステージへ進めない選手も当然存在するわけで、だからこそ指導者には繊細な判断が要る。 静岡学園のコンセプトは、井田勝通総監督が着任した1970年代から変わっていない。
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