9月15日は土星探査機「カッシーニ」のミッションが終了した日
一方のカッシーニも、土星の環の複雑な構造をはじめとする土星系の新たな知見につながるデータを次々ともたらしました。ホイヘンスが着陸したタイタンにはメタンやエタンの湖が存在していて、水が循環する地球のように炭化水素が循環する世界であることが判明。別の衛星エンケラドゥスの南極周辺からは水の氷のプルーム(水柱、間欠泉)が噴出しており、氷でできた外殻の下に内部海が広がる可能性も示されました。内部海には生命が存在する可能性も指摘されており、エンケラドゥスはタイタンとともに地球外生命探査の観点から大きく注目される天体となっています。 様々な科学機器による観測のかたわら、カッシーニは土星や衛星の画像を数多く取得しました。幅の広い環を持つ姿が独特の美しさを感じさせる土星はもちろん、様々な衛星もまた一般の人々の心を捉えています。
2017年4月、カッシーニのミッションは数か月間にわたる「Grand Finale(グランドフィナーレ)」と呼ばれる最終段階のフェーズに入りました。グランドフィナーレは土星にそれまでになく接近し、未知の領域だった土星本体と環の間を合計22回通過する軌道を飛行しながら観測を行うとともに、地球の微生物が付着している可能性があるカッシーニを最終的に土星に突入させてミッションを終了させるべく計画されました。前述の通り土星の衛星には生命が存在する可能性が指摘されており、推進剤が尽きて軌道を制御できなくなったカッシーニが衛星に衝突して万が一にも汚染してしまうことがないようにするためです。 グランドフィナーレを通じて土星の磁場や内部構造に関する新たなデータを取得し、その近くから雲や環を撮影したカッシーニは、日本時間2017年9月15日に土星の大気圏へ突入。最後の信号は日本時間同日20時55分に受信され、打ち上げから20年にわたる歴史的なミッションは終了しました。カッシーニが残したデータは今も研究が進められており、今後も土星やその衛星についての知られざる事実を私たちに伝えてくれることでしょう。 Source NASA - Cassini-Huygens ESA - Cassini-Huygens NASA/JPL - Photojournal
sorae編集部