蕨市・川口市「在日クルド人問題」支援団体代表者が語る“ヘイト”の連鎖が止まらない背景
国は外国人との共生を地域とボランティアに“丸投げ”している
2023年9月、川口市の奥ノ木信夫市長は仮放免制度をめぐる要望書を国に提出した。要望の内容は、下記の三点。 ・ 不法行為を行う外国人を、法に基づいて厳格に対処(強制送還等)すること。 ・ 仮放免者が最低限の生活維持ができるよう、就労を可能とする制度を構築すること。 ・生活維持が困難な仮放免者が、健康保険やその他の行政サービス、国からの援助措置を申請できるようにすること(適否は国の責任で判断) 「在日クルド人と共に」では仮放免者の医療費の支援も行っているが、温井氏も奥ノ木市長の意見にも理解できる部分があるという。 温井氏:仮放免者は医療保険に加入できないため、医療費は全額負担となります。自由診療であるから、病院によっては金額も増す。負担を減らすために普段から病院に通うのを避ける方も多いですが、結果的に病気が重症化してから病院に行くことになるので、医療費の負担も増してしまう。 重症化した方や妊娠した方などは無保険でも病院に通う必要がありますが、支払えない額を請求されると借金をして返済するか、場合によっては滞納となることもあるでしょう。すると、病院や市の財政にとっても不利益になります。病院に通うハードルを減らすための医療保険は、本人のためだけではなく、社会全体の負担を減らすための制度であるということを理解してもらいたい。 私たちも在日クルド人の医療費を援助することがありますが、資金には限りがあります。そもそも、民間ではなく国が対応すべき問題です。 仮放免のクルド人に限らず、正式に移民としての資格を認めている外国人についても、国は「労働力」としてしか見ていません。人口減が進む今後の日本社会ではさまざまな仕事で外国人に頼る必要があります。しかし、国は外国人との共生や社会への統合について議論をほとんど行わず、地域やボランティアに対応を丸投げしている。奥野木市長が国に対して不満を抱くのも当然のことです。