IR法案は今国会も成立見送り 「お台場カジノ」はどうなったの?
今国会では安保法制の議論に耳目が集中し、ほかの法案の審議状況はなかなか伝わってきません。アベノミクスで成長戦略の一つとして位置づけられている「カジノ」を推進する法案(IR推進法案)は先の国会でも成立確実といわれていました。ところが、突然の衆議院解散で廃案。今国会でも、安保法制の審議を優先するなどの事情から成立は見送られることになりました。 【地図】「カジノ構想」これまでに浮上した候補地は?
積極誘致を図った石原・猪瀬知事時代
カジノを解禁するIR(統合型リゾート)推進法案の成立を目の前にして、地方自治体間でカジノを誘致する動きが活発化しています。 もっとも積極的に動いているのは、大阪市です。橋下徹市長は2011年のダブル選挙でも、2014年の出直し選挙でも大阪経済の起爆剤としてカジノを誘致することを盛んに主張していました。また、松井一郎大阪府知事も大阪臨海部の夢洲(ゆめしま)にIRを誘致することを表明しています。 こうした積極的な誘致のかいもあって、新聞などでは「大阪市と横浜市がカジノ当確」と報道されています。 カジノの誘致をめぐっては東京都も相当に力を入れていました。石原慎太郎都知事(当時)は年1000万円のカジノ調査予算を計上していたほか、2002年には都庁展望室でカジノを疑似体験するプレイベントを開催しています。これは自治体関係者や企業関係者、専門家など招待者を限定したもので、一般人は入場できませんでした。石原都知事のカジノ政策は、後任の猪瀬直樹都知事にも受け継がれました。 「猪瀬都知事のときは特区でMICE(マイス)を整備し、それに合わせてカジノを設置することを推進していました」(東京都港湾局) MICEとは企業関係者や研究者などが一堂に介する学術会議を開催するイベントホール、博物館・美術館といった学術振興施設、スポーツイベントを開催できる競技場や体育館といったスポーツ施設などを一体的に集約する概念です。近年、MICEを整備して外国人観光客を取り込もうとする動きも活発化しています。