「α1 II」にみる3年半分の進化 高解像とスピードを兼ね備えた新フラグシップ誕生
11月19日の午後11時にソニーの「α1 II」が発表され、翌20日に東京ビッグサイトで実機に触れるスペシャルイベントが開催された。ハンズオンで実機に触る機会を得たのでリポートしたい。 【画像14枚あり】空手のデモをプリ撮影機能を使って秒30コマで連写(電子シャッターとなる)。最後のヒトコマがわたしがシャッターを切った瞬間となる α1 IIとは何か。 デジタル一眼のトップメーカー3社(ソニー、キヤノン、ニコン)のうち、いち早く「フラッグシップ機」を投入したのがソニーだった。2021年3月発売の「α1」だ。その後、ニコンが「Z9」を、キヤノンが今年になって「EOS R1」を発表し、各社ともミラーレス一眼のフラッグシップ機をラインアップに加えたわけであるが、そうなると、3年半前のα1はいささか古さを感じさせる存在となった。 特に、今年1月にグローバルシャッター方式のセンサーを搭載し、最新の操作系やAF性能を備えた「α9 III」が登場すると、なおさら比較されがちになる。 そんな中、登場したのがα1 IIだ。 簡単にいってしまえば、α1を3年半分進化させ、α9 IIIで採用された新しい機能や操作系を融合させたカメラだ。 ソニーは、高解像の「α1R V」、スピードのα9 IIIに対し、両方を兼ね備えたのがフラッグシップ機であり、それがα1 IIなのだという。
3年半分の進化はここにある
まずはボディ。ボディデザインは最新のα9 IIIをベースにしている。初代α1やα9 IIIと同様、ボディはαらしいコンパクトさで、縦位置グリップはオプションとなるが、α9 III用のものをそのまま使える。 α1ではチルト式だった背面モニターは、α9 IIIと同じく4軸のチルト+バリアングル式に。 ボタンやレバーなどの操作系もα9 III準拠で、同じ感覚で操作できる。 マウントとグリップの間に新設されたC5ボタンもα9 IIIゆずりだ。 α9 IIIとα1 IIは、併用しても違和感なく使い分けられそうだ(ただし、両方を揃えると200万円コースになるけれども)。 両者が大きく異なるのはいうまでもなくイメージセンサー。α9 IIIは、約2400万画素のグローバルシャッター方式CMOSセンサーだったのに対し、α1 IIは約5000万画素のローリングシャッター方式積層型CMOSセンサー。 センサー自体はα1と同じもので、もともと高速読み出しが可能で歪みが非常に少ないセンサーであり、さらに画像処理を進化させて中高感度域のノイズを低減したという。 α9 IIIに対する強みは「高解像」と、おそらくは高感度時の画もα1 IIの方が画素数が多いにもかかわらず上だろう。 5000万画素でありながら1秒あたり120回の演算で、秒30コマのAE/AF追従連写が可能だ。RAWでの連写もできる。 さらに、最新モデルなだけあって「プリ撮影」機能も搭載。 α9 IIIゆずりの機能で素晴らしいのは連写速度ブーストだろう。 低速の連写モードにしていても、マウント脇のC5ボタンを押している間だけ超高速連写が行われるので、ファインダーを覗いていて、ここだ、というときだけ連写速度を上げられるのだ。これはよい。 連写性能だけみるとα9 IIIの方が速さに特化したカメラだけあって優れているが、5000万画素でこれだけ連写ができるのは素晴らしい。 ボディ内手ブレ補正が中央部約8.5段(周辺部は約7段)に強化された点など、3年半分の進化があるわけだが、より大きな進化はAIを使った被写体検出AFだという。専用のAIプロセッシングユニットを搭載し、幅広い被写体をリアルタイムで認識できるようになった。 まず、検出対象が最新のαと同様に増えた上に「オート」が用意された。被写体の自動検出だ。 さらに人物の瞳認識性能がα1に比べて約30%、動物の認識性能も約30%、鳥の認識性能は約50%も向上しているという。 高精度なリアルタイムトラッキングAFはソニーの良さの一つであり、そこが強化されている。 メディアはCFexpress Type-AとSDカードの兼用スロットがデュアルで用意されている。これはα1やα9 IIIと同じだ。 その他、フラッグシップ機であるため、LAN端子やフルサイズのHDMI端子など拡張性はしっかり用意されている。