「弱みしかないです」“弁護士コンビ”結成4か月でM-1グランプリに挑戦するワケ “裁判と漫才”意外な共通点とは?
今年もアツい「M-1グランプリ」(以下、M-1)の予選がはじまった。吉本興業と朝日放送テレビが主催するM-1は、日本一の若手漫才コンビを決める大会だ。コンビ結成から15年以内であれば誰でも参加できるため、お笑い界の頂点を目指す人々の登竜門になっている。 【X投稿】「M -1グランプリに挑戦します!!」清水弁護士の宣言! もはや国民的行事となったM-1に、今年、とある弁護士たちが初挑戦するという。結成4か月のコンビ「リット法律事務所」だ。 大阪天満宮を中心に栄え、日本三大祭りの『天神祭り』で知られる大阪市北区南森町。古きよき景色と近代的な建築が交差するこの街に、リット法律事務所はある。M-1出場を決めたのは、その所長である清水勇希弁護士と、相棒の谷口陽輔弁護士だ。 勤務先の看板をそのままコンビ名として背負い、「やるからには優勝を目指したい」と意気込む彼ら。現役弁護士がなぜM-1に……? 出場の裏側をインタビューした。
「顔は知っている」程度の2人が“相方”に
――まずは、おふたりの弁護士としてのご経歴を教えてください。 清水弁護士:司法試験に合格後、4年ほど勤務弁護士(※事務所に雇われて勤務している弁護士のこと)として働き、2022年10月にリット法律事務所を開業しました。弁護士としての仕事は、ベンチャー企業の法務、芸能・エンタメ法務等を中心に扱うほか、上場企業の社外役員をするなど幅広く活動しています。 谷口弁護士:清水と同じく勤務弁護士を4年務め、昨年9月からこの事務所に合流しました。離婚事件、債務整理、交通事故など、地域の人たちのトラブルを幅広くオールマイティーに担当しています。いわゆる「町弁(※町の弁護士)」ですね。 ――おふたりの出会いは? 清水弁護士:大学が同じ立命館だったんです。僕は谷口の2つ下の学年。当時僕は学部生で、谷口は大学院生として立命館の法科大学院(ロースクール)に通っていました。当時の印象は「ロースクールの方なんや」くらいでしたね(笑) 谷口弁護士:共通の友人がいたり、図書館でよく見かけたりしていたので、お互いに「顔は知っている」程度でした。同じタイミングで司法試験に受かり、研修の班が一緒だったことで仲良くなったんです。 清水弁護士:司法試験って、ロースクールを修了するか、予備試験に合格すれば受験できる仕組みになっていて。僕は大学生のうちに予備試験を受けて司法試験に挑んだので、学年は違っても谷口とは合格のタイミングが同じで、研修の同期だったんですよ。 谷口弁護士:司法試験に受かっても、すぐに弁護士になれるわけじゃないんです。司法修習と呼ばれる研修期間が1年くらいあります。その間はずっと同じ班のメンバーと行動するので、自然と仲良くなっていました。 ――いわゆる「同じ釜の飯を食った仲間」というわけですね。漫才コンビの結成は今年の4月からとのことですが、何かきっかけがあったのでしょうか。 清水弁護士:一緒に働いていると、日々の会話が仕事のことばかりになってくるんですよね。それに寂しさを感じたのと、業務以外で何かふたりで作り上げてみたい気持ちがあって。漫才を選んだのは、僕自身が芸人さんに憧れがあったからです。弁護士をやっていなかったら芸人を目指していたくらい、お笑いが大好きで。M-1にもずっと出てみたかったんです。 谷口弁護士:僕はどちらかと言うと、人前で何かをするのは苦手なタイプです。でもダウンタウンさんを見て育ったのでお笑い自体は大好きですし、できるのならやってみたいなと思って、清水からの誘いに乗りました。それに、僕がこのリット法律事務所に弁護士として合流したのは、いろんなことに挑戦していく清水をサポートしたいなという気持ちがあったからなんです。だからこそ、「彼がやるんやったら僕もやろうかな」って感じでした。