「弱みしかないです」“弁護士コンビ”結成4か月でM-1グランプリに挑戦するワケ “裁判と漫才”意外な共通点とは?
裁判と漫才の意外な“共通点”
――M-1では弁護士ネタを披露されるのでしょうか。 清水弁護士:“弁護士あるある”なネタを考えています。職業柄、守秘義務が多いので、言いたいこともなかなか言えない立場にあります。一般の方にとっても、弁護士や法曹界って謎に包まれていて遠いイメージがあると思うんですよね。なので言える範囲でネタにして、一般の方に共感や親しみを感じてもらいたいなと。 谷口弁護士:ネタを通じて、僕たちの仕事や法曹界に興味を持ってもらいたい ですね。弁護士は裁判相手だけでなく裁判官や検察官とも戦う職業なので、その苦労もおもしろくネタにして伝えたいです。 ――弁護士コンビだからこその強みや弱みはどこだと思いますか? 清水弁護士:弱みしかないです(笑)。本職の芸人さんのように、お笑いに全ての時間を投入できるわけではないので、そこは一番の弱みですね。ただ、弁護士だから個性は立っていますし、職業ネタで勝負できるのは最大の強みだと思っています。 谷口弁護士:メンタル面も強みかもしれません。本番に向かって準備していく過程は、M-1も裁判も同じなので。 ――弁護士さんは法廷でしゃべるお仕事でもありますもんね。 清水弁護士:漫才は裁判の尋問と似ている気がしています。主尋問(※弁護士が自分の側の証人に質問すること)は徹底的にリハーサルして臨むので、練習した受け答えや間を披露するという点で似ているかな。逆に反対尋問(※相手側の弁護士がその証人に質問すること)では、臨機応変に対応する能力が求められます。 谷口弁護士:しっかり話を組み立てて構成して、相手の反応を見てうまくアドリブで機転を利かせられるか。相手の心をつかめるかという部分では、裁判と漫才で通じるものがありますね。
「M-1出るん?」会話のきっかけに
――漫才師として観客の前に立つのはM-1の1回戦が初めてだそうですが、不安などはありますか? 清水弁護士:緊張で言いたいことが頭から飛んでしまわないか怖いですね。恥ずかしいし、失敗してしまったら、お客さんも「あの弁護士には絶対に依頼せんとこ」ってなるだろうし。「尋問ヘタクソなんちゃうか」と思われたり(笑)。SNSでも大々的に告知して、周りも注目してくれている中で失敗したら、仕事が来なくなるんじゃないか。そのプレッシャーはすごくあります。 谷口弁護士:僕は今のところは不安や緊張をそんなに感じていないです。2日前くらいから緊張してきそう。今はあんまり考えないようにしています(笑) ――M-1に出ると告知してから、周りの反応はいかがでしたか。 清水弁護士:僕は中学の頃に文化祭で漫才をやっているので、家族は「またやるんか」って反応でした。でも裁判所ですれ違った弁護士に、「M-1出るん?」って声をかけられましたね。その先生とはあまり話したことがなかったので、印象的に見られているんだなと感じました。 谷口弁護士:妻から「人生楽しそうだね」ってボソっと言われました(笑)。僕はSNSをやっていないんですが、清水の投稿を見た友達から「どっちがボケでどっちがツッコミ?」って聞かれたり、LINEが来たりしました。 ――漫才コンビを組んだことで、弁護士の仕事にも何か良い影響は生まれましたか? 清水弁護士:ふたりでいても仕事の話ばかりだったところに、M-1という新たな日常会話が生まれました。漫才の練習も、日常のやり取りの中でしていますし(笑)。事務所のスタッフも応援してくれていて、事務所全体、皆で一丸となって挑戦していくって意味では、良い方向に働いているんじゃないかな。 谷口弁護士:「M-1出るんですよ」って、お客さんとの会話のネタが増えました。フェーズが濃くなっていくにつれて、感じることも増えてくると思うので、それを楽しんでいきたいです。 ――お互いのことをどういう人だと思っていますか? 2人:うわ、言うん恥ずかし~!!(笑) 谷口弁護士:とにかくコミュニケーション能力が高くて、周りを明るくさせる人。僕とはタイプが違っていて、僕にないものを持っている。そこがすごく良いところだと思っています。 清水弁護士:僕は物事に勢いよく飛び込む性格をしているんですが、谷口は一歩引いて俯瞰(ふかん)しながら一緒に仕事をしてくれるので助かっています。僕だけだったら、事務所のスタッフも僕の勢いにつぶれてしまうと思うので。裏から支えてくれるような存在で、本当に大好きです。