なぜ横浜DeNAは筒香のポスティングによるメジャー移籍を容認したのか?
横浜DeNAが7日、クライマックスシリーズ・ファーストステージ第3戦終了後に横浜スタジアムで会見を開き、筒香嘉智外野手(27)のポスティングシステムによるメジャーリーグ移籍を容認することを三原球団代表が発表した。三原代表によると、昨年オフの契約更改で筒香が訴えたメジャー移籍について球団としての対応を検討。シーズン中も水面下で筒香との話し合いを続けてきた。筒香の決意が固く、またチームへのここまでの貢献度を高く評価し、レギュラーシーズン終了後に球団として容認する結論を筒香に伝えた。 筒香は、「ありがたい。感謝する」と答えたという。 三原代表はメジャー移籍容認に至る決断理由を明らかにした。 「球団としては、キャプテンで中心選手でもある戦力を失うことは非常な痛手なんですが、じっくりと話して小さいときからの夢であるメジャー挑戦を叶えてあげたいという結論に至った。選手生命を考えると限られた時間を彼には有効に使ってもらいたい」 筒香は27歳。FA権の獲得まで待つとメジャー挑戦すべき選手としての旬は過ぎる。 今季筒香は131試合に出場し、打率.272、29本塁打、79打点の成績を残した。チーム事情により2番も打ち、8月には5年ぶりに三塁も守った。9月22日に右手小指に死球を受けて登録抹消となったが、CSには間に合わせ、2戦連発を含む5打点の数字を残している。チームは、筒香が入団以降、最高順位となる2位をキープしCSの本拠地開催権を初めてもぎとった。ファーストステージ敗退となったが、3試合共に大入り満員となり、またシーズンの観客動員も過去最多の228万人を突破した。経営が右肩上がりで安定している球団としては、Aクラス入りしたチームを支えた筒香のチーム貢献度を認めた上で、その夢を応援する形でメジャーへ送り出すことを決定した。 ただ三原代表は、ひとつだけ条件をつけたという。 「現役選手として日本に帰ってくるとなったときは、必ず我々に声をかけてください、という話をさせていただきました」 それには筒香も「必ず帰って来たい」と返答したという。 最近では、ヤクルトの青木宣親、日ハムの田中賢介、巨人の上原浩治が、メジャーから出身チームに復帰した例はある。だが、一方で、松井稼頭央、岩村明憲が楽天、西岡剛が阪神、松坂大輔がソフトバンクと契約するなどメジャーに出ていく時点で復帰を約束するのは異例。それだけ筒香が横浜DeNAにとって偉大な選手である証だろう。 ストッパーの山崎康晃もメジャー志向が強く、一度、ポスティングの前例を作った以上、数年後の流出が不安視されるが、「これからもメジャー希望選手のポスティングは認める流れになるのか?」という質問に三原代表は、「今の段階ではなんとも言えない。筒香は最初のケース。すべてのケースに同じ答えを出せるとは言えない」と語り、あくまでも筒香が特例であることを強調した。